日支親善策如何 ――我輩の日支親善論

5話 日支親善の切要

935字 約2分 2020年5月25日 公開

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 我輩は隣邦国民の友誼(ゆうぎ)として従来数々支那人に警告した、注意した。およそ国家の滅亡は他動的に非ずして、自動的なものである。亡ぼさるるというは当らず、亡びるのである。羅馬(ローマ)の亡びたのは北方蛮族が亡ぼしたというが決して然らず、もう羅馬(ローマ)は腐敗していた。そこで北狄(ほくてき)が侵入したまでである。物まず腐って虫これに生ず。これは亡ぼさるるに非ずして亡びるのである。支那人たるもの宜しくこれに注意しなければならぬ。それから、支那と日本とは同種同文の国である。(しか)して支那そのものを回瀾既倒(かいらんきとう)の苦境より救うものは、我が日本である。支那を開発し誘導するものは、我が日本を()いて他にない。支那の復活蘇生の大任に当るものとしては、異人種ではいかぬという趣意を反覆しておかねばならぬ。その一例としては朝鮮を挙げる。朝鮮を誘導して真に国家的独立を維持せしむるものは日本であった。(しか)らば朝鮮たるもの、宜しく我が日本に信頼するがいい。ところが素々(もともと)事大(じだい)思想に(とら)えられていた朝鮮は左顧右眄(さこうべん)、容易に日本に信頼するの態度を示さざる結果、ついにあんな仕末になってしもうたのである。この一片の友誼を無視して誤てる思想の捕虜となった結果は、近く朝鮮にある。

 (しか)るに支那にしてもし今の状態を永く続けるならば、その間には虎視眈々(こしたんたん)として、野心を(ぞう)し功名心を有する列強が、その機に乗じて種々なる暗中飛躍を試みることになるかも知れぬ。そこで勢い他の力に頼って一日の安きを(たの)むようになる。その結果は亡国。朝鮮はこれをやって、とうとうああいう末路を見た。しかしこれを以て(ただ)ちに侵略的の意味に誤解されては甚だ困る。真に友誼をもっているからこそ、かくの如く忠告するのである。これは友人に非ざれば、到底出来ぬ忠告である。諫言(かんげん)は耳を(さか)らう。しかも支那はこのことを()く自覚せよと、こういう意である。世界の歴史にも往々(おうおう)見ることだが、他の力を当てにして一日の偸安(とうあん)を計るということが一番(おそ)るべしだ。これは支那の歴史にはいくつもその例がある。他者に頼って一日の安きを(ぬす)んで、ついに国家百年の災いを(のこ)すに至る。我輩はそれを畏れるのである。今の中に南北人種の争いより超越して、国体及び政権を整理し、国運を挽回して更に強固なる国家となることを我輩は衷心より希望する。

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