政治趣味の涵養

1話 〔政治ほど面倒なものはない〕

350字 約1分 2018年5月26日 公開

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 人生百般の事の(うち)、およそ政治ほど面倒なものはない。恐らく人間の仕事のあらゆる仕事の中にて、政治は最も困難なる事業の一つであろうと思う。全体、政治の術……()は学問とは言わぬ、術というが、政治の術はすべて国民の政治的心理の上に、人の心の上に働く術である。術にはいろいろあるが、この術の中で最も困難なる術の一つであると思う。これを平易に説明すると、たまたま何か功を為すことがあると、人の嫉妬心を招く。人間には嫉妬心の多いもので、ことに政治上に現れる嫉妬というものは最も(はなは)だしい。この嫉妬があるために政治の進歩になるのか知れぬが、なかなか嫉妬が多い。手柄をするときっと嫉妬が起る。それから少し(ちちゅう)していると、あれは意久地(いくじ)がないといい、たまたま少しやり損なうと()ぐにこれを責める。なかなかむずかしいものである。

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