49話 前編 生涯 四九 研究と著書
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ファラデーの研究は非常に多い。題目だけで百五十八で、種々の雑誌や記事に発表してある。短い物も多いが、しかし、そういうものの中にも重要なのがある。また金曜講演の要点を書き取ったような物もその中にある。しかし非常に注意して行うた実験もある。
ことに電気に関する実験的研究の約三十篇の論文は、その発表も二十六年間にわたり、後で三巻の本にまとめた。人間の事業の最高記念物、新発見の智識の庫として、非常に貴ばれたもので、これを精読して、自分の発見の端緒を得た人が、どの位あるかわからない。マックスウェルはこれから光の電磁気説を想いついて、理論物理学の大家となり、またエヂソンも面白がって読み耽けり、大発明家となった。
この本は普通の本とは非常に趣きが異っていて、ファラデーが研究するに当って、いろいろに考えをめぐらした順序から、うまく行かなくて失敗におわった実験の事までも、事細かにすっかりと書いてある。これを読めばいかにして研究すべきかということの強い指針を読者に与えるし、そのうまく行かなかった実験を繰りかえして、発見をした人も少くない。この両方面から見て、非常に貴い本である。
電磁気以外の研究は「化学および物理学の実験研究」という本に、集めてある。また「化学の手細工」という本を出版したが、これは時勢遅れになったというので、後には絶版にしてしまった。それから、クリスマス講演の中で、「ロウソクの化学史」と、「天然の種々の力とその相互の関係」とが出版されている。いずれも六回の講演で、クルークスの手により出版された。