『春と修羅』

28話 グランド電柱 芝生

560字 約1分 2000年10月4日 公開

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風とひのきのひるすぎに

小田中はのびあがり

あらんかぎり手をのばし

灰いろのゴムのまり 光の標本を

受けかねてぽろつとおとす

(一九二二、六、七)

青い槍の葉

  (mental sketch modified)

  (ゆれるゆれるやなぎはゆれる)

雲は来るくる南の地平

そらのエレキを寄せてくる

鳥はなく啼く青木のほずゑ

くもにやなぎのくわくこどり

  (ゆれるゆれるやなぎはゆれる)

雲がちぎれて日ざしが降れば

黄金(キン)の幻燈(げんとう) 草(くさ)の青

気圏日本のひるまの底の

泥にならべるくさの列

  (ゆれるゆれるやなぎはゆれる)

雲はくるくる日は銀の盤

エレキづくりのかはやなぎ

風が通ればさえ冴(ざ)え鳴らし

馬もはねれば黒びかり

  (ゆれるゆれるやなぎはゆれる)

雲がきれたかまた日がそそぐ

土のスープと草の列

黒くをどりはひるまの燈籠(とうろ)

泥のコロイドその底に

  (ゆれるゆれるやなぎはゆれる)

りんと立て立て青い槍の葉

たれを刺さうの槍ぢやなし

ひかりの底でいちにち日がな

泥にならべるくさの列

  (ゆれるゆれるやなぎはゆれる)

雲がちぎれてまた夜があけて

そらは黄水晶(シトリン)ひでりあめ

風に霧ふくぶりきのやなぎ

くもにしらしらそのやなぎ

  (ゆれるゆれるやなぎはゆれる)

りんと立て立て青い槍の葉

そらはエレキのしろい網

かげとひかりの六月の底

気圏日本の青野原

  (ゆれるゆれるやなぎはゆれる)

一九二二、六、一二

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