後の日の童子

室生 犀星 完結 全3話 1.6万字 約31分 2013年10月21日 更新

夕方になると、一人の童子が門の前の、表札の剥げ落ちた文字を読み上げていた。植込みを隔てて、そのくろぐろした小さい影のある姿が、まだ光を出さぬ電燈の下に、裾すぼがりの悄然とした陰影を曳いていた。 童子は、いつも紅い塗のある笛を手に携えていた。しかしそれを曾て吹いたことすらなかった。…
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初出 — 「女性」1923(大正12)年2月号

底本: 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子(ちくま文庫、筑摩書房) ※青空文庫の公有作品です。入力・校正は青空文庫の方々によるものです。

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