ノベリズ
三尺角
132字 約1分 2016年7月1日 公開
「あい、」といいすてに、急足(いそぎあし)で、与吉は見る内(うち)に間近(まぢか)な渋色の橋の上を、黒い半被(はっぴ)で渡った。真中頃(まんなかごろ)で、向岸から駆けて来た郵便脚夫(きゃくふ)と行合(ゆきあ)って、遣違(やりちが)いに一緒になったが、分れて橋の両端(りょうはし)へ、脚夫はつかつかと間近に来て、与吉は彼(か)の、倒れながらに半ば黄ばんだ銀杏(いちょう)の影に小さくなった。
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