無題

1話 無題

302字 約1分 2007年8月6日 公開

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 わたくしはけふの講演会に出るつもりでゐましたが、腹を壊してゐる為に出られません。元来講演と云ふものは肉体労働に近いものですから、腹に力のない時には出来ないのです。甚だ尾籠(びろう)なお話ですが、第一下痢(げり)をする時には何だか(さめ)の卵か何かを生み落してゐるやうに感ずるのです。それだけでももうがつかりします。おまけに胃袋まで(くぢら)のやうに時々潮を()き出すのです。そこで友人佐佐木茂索君にこの文章を読んで貰ふことにしました。勿論佐佐木君は読むだけではなく、佐佐木君自身の講演もされることと信じてゐます。若し万一されなかつたとすれば、どうか足を踏み鳴らして、総立ちになつてお騒ぎ下さい。右とりあへず御挨拶まで。

(大正十五年六月)

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