公孫樹

1話 公孫樹

300字 約1分 2012年12月26日 公開

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秋風死ぬる夕べの

入日の映のひと時、

ものみな息をひそめて、

さびしさ深く流るる。

心のうるみ切なき

ひと時、あはれ、仰ぐは

黄金の秋の雲をし

まとへる丘の公孫樹。

光栄の色よ、など、さは

深くも黙し立てるや。

さながら、遠き昔の

聖の墓とばかりに。

ま白き鴿(はと)のひと群、

天の羽々矢と()りきて、

黄金の雲にいりぬる。――

あはれ何にかたぐへむ。

()(した)馬を曳く子は

たはれに小さき足もて

幹をし踏みぬ。――あゝこれ

はた、また、何ににるらむ。

ましろき鴿のひと群

羽ばたき飛びぬ。黄金の

雲の葉、あはれ、法恵(ほふゑ)

雨とし散りぞこぼるる。

今、日ぞ落つれ、夜ぞ()れ。――

真夜中時雨また来め。――

公孫樹よ、明日の裸身(はだかみ)

我、はた、何に(たぐ)へむ。

十一月十七日夜

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