蜜柑

芥川 竜之介 完結 全1話 3,161字 約6分 1998年3月16日 更新

或曇つた冬の日暮である。私は横須賀発上り二等客車の隅に腰を下して、ぼんやり発車の笛を待つてゐた。とうに電燈のついた客車の中には、珍らしく私の外に一人も乗客はゐなかつた。外を覗くと、うす暗いプラツトフオオムにも、今日は珍しく見送りの人影さへ跡を絶つて、唯、檻に入れられた小犬が一匹、…
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初出 — 「新潮」1919(大正8)年5月

底本: 現代日本文学大系 43 芥川龍之介集(筑摩書房) ※青空文庫の公有作品です。入力・校正は青空文庫の方々によるものです。

この作品には別の底本もあります — 蜘蛛の糸・杜子春(新潮文庫、新潮社)、現代日本文學全集 第三十篇 芥川龍之介集(改造社)

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