海底大陸

22話 クイーン・メリー号は叫ぶ

1,142字 約2分 2013年5月17日 公開

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 エバン船長が、顔をかがやかして、スミス警部の方へおりてきた。

「どうじゃネ。何か見つかったらしいが」

「ええ、船長、これをごらんなさい」

 といって、さし出した布テープを見れば、その中には、英語で次のようなかんたんな文句がタイプライターでうってあった。

SOS(タスケヲモトム)。この附近を探セ。クイーン・メリー号」

 クイーン・メリー号からの救助文なのであった。

「ややッ、これはメリー号の通信じゃ。うむ、おどろくべき発見じゃ」

 といって、エバン船長は感激の色をしめして、スミス警部の魚くさい手をぐっとにぎりしめた。

「やあ、あんたが、こうした名探偵とは、失礼ながら今の今まで、そうは思わなかった。いや全く敬服のいたりじゃ」

 スミス警部は、ゆかしく笑いながら、

「とにかくこれで見ますと、メリー号の乗組員はまだ生きていると思われます。また、乗組員はなにかの災難にあって、それからのがれようとくわだてていることもわかりました。これを見ると、かれらはこの布テープに印刷をし、それをまるめた上で、何か魚のたべそうなえさの中に入れ、それを海中にまいて、魚がそのえさもろとも通信文を胃ぶくろにおさめるよう、そうすれば、そのテープがどこかで発見されるだろうと考えついたのです。こまったあげくのちえとはいえ、これは実におもしろい通信方法です」

「うむ、いや名探偵じゃ。では、さっそくこれを英本国へ通達しなければならぬ」

 ただちにルゾン号の無電は、檣頭(しょうとう)に高くはったアンテナから、

「メリー号よりすくいをもとめる云々(うんぬん)

 と、あとからあとへとくわしい情報を打電した。

 英本国では、もう絶望だと思っていたメリー号から救助信号があったというので、乗客の家族たちもハンカチーフでなみだをぬぐって元気づいた。

 捜索隊への命令が発せられた。待機中の駆逐艦隊(くちくかんたい)や、れいのラスキン大尉のひきいる飛行隊は、新たに潜水艦隊をつれて勇躍してふたたび大西洋上めがけて進発(しんぱつ)した。

 ルゾン号の魚とり大会の参加員たちにも、魚腹(ぎょふく)から出てきたクイーン・メリー号の救助信号のことがだんだんと伝わっていったので、さおをかついで本船にかえってくる者がだんだんに多くなった。

「スミスおじさん。メリー号が見つかったって、ほんとうなの。どこにいたの」

 と、三千夫少年も、カニばかりはいった魚籠(びく)をかついで、スミス警部のところへとんできた。いまや警部は船内の畏敬(いけい)のまととなった。

「さあ、どこにいるのか、そいつはまだわかっていないのだよ、三千夫君。しかし今に、英国海軍がそれを教えてくれるだろうよ」

 ああ、英国海軍!

 そのとき何ごとが起こったのか、突如としてルゾン号の非常汽笛が鳴りひびいた。

 こは何ごと、と全員はおどろいて、あるいは甲板にかけあがり、あるいは高声器(こうせいき)の方に聞き耳をたてた。

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