海底大陸

32話 帰港

1,191字 約2分 2013年5月17日 公開

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 ルゾン号は快速をだして、さっきもいったようにルアーブルの港に帰ってきた。それはメリー号の遭難現地をはなれてから五日のちのことであった。

 メリー号の捜索や、「鉄の水母」の怪行動や「鉄の水母」対英国空軍の戦闘などについて、その帰途、無電をもってくわしく報告しておいたので、フランス国民は、ひとりのこらずルゾン号の冒険を知っていた。だからルゾン号が入港したときには、ルゾン号を見ようという群衆が、波止場にも、ビルの屋上にも、また遊覧飛行機の上にも、いっぱいみちみちていて、さかんに旗をふったり、ハンカチをふったり、すばらしい歓迎ぶりであった。

 エバン船長以下、もとメリー号の乗組員の三千夫少年まで、全部の船員はひとまずそのすじのとりしらべをうけた。そして見たり聞いたりした、いちぶしじゅうは、部あつな記録となって、後にまで保存されることになった。

 それがすむと、こんどは、がらりとおもむきがかわって、盛大な歓迎会が開かれることになったが、それにさきだち、パリ大学からのとくべつなまねきがあって、人類世界の大問題である大西洋の怪について、ぜひともはやく知りたいということなので、まずその方に出席することにした。

 海底超人族の研究会の席上には、その道の権威クープ博士をはじめ、れいの長良川博士の顔も見えた。

 まず、三千夫少年の、クイーン・メリー号遭難前後の話からはじまって、エバン船長の報告があり、それから更にすすんで三千夫少年を救いあげたことや、スミス警部の魚とりの大会や、英国空軍の活躍などについて、くわしく知っていることをのべたのであった。

 博士たちは、この報告談にいちいち大きくうなずきながら、ひじょうな興味をもって聞き入っていたようである。

 報告がすむと、クープ博士は一座をずっと見まわして、

「どうです、皆さん。いまお聞きのように、三千夫君やエバン船長のお話は、われわれにとってじつにたとえようもない位、興味津々(きょうみしんしん)たるものです。ただどうも、『鉄の水母』という怪潜航艇――だと思いますが――それについては一こう心あたりがないが、大西洋の海底に超人族がすんでいることは、いまや一点のうたがいもなくなりましたぞ。これについては、もはや疑問に思う人は、ただのひとりもないことでしょう。わたしたちは三千夫君やルゾン号の方々に大いに感謝しなければならん」

 といって、博士は言葉をちょっととめ、

「だが、ここに、海底超人族のすんでいることがたしかに証明されたということは、とりもなおさず、われわれ全人類が、いま噴火孔上(ふんかこうじょう)に立っていることをしめすので、実にたいへんなことになりました。大噴火が起こって、われわれがはねとばされるのも、もう、まのないことでしょう。それまでに、われわれは、至急、てきとうな方法を考えて、海底超人族に対抗しなければ、手おくれになります。さあ、皆さん。ここをよく考えてください」

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