海底大陸

40話 絶体絶命

1,125字 約2分 2013年5月17日 公開

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 まるまどをとおって、怪物群はぞくぞくと船室へおどりこんでくる。

 クーパー、パイクソン、マルラは、いまや、から手でもって怪物にたちむかった。

 あっちでもこっちでも組みうちだ。

 クーパーのひっ組んだやつは、中でもがらの大きいやつだった。

 両眼をぐるぐるまわしながら、何本かの、タコのような足がからみついてくる。

 ふーっというあらあらしい息が顔にかかると、たとえようもない臭気(しゅうき)がクーパーの胸をむかむかさせた。

 怪物の足は、さかんにクーパーの眼をねらっているようだ。はらえどもはらえども、つぎつぎに別の足が、ぴしりぴしりと顔面をうつ。

 それにひどい臭気のあらしだ。

 クーパーは、いまや死がちかづいたと思った。相手のこのいきおいでは、たとえとりこになっても、いのちのないのは覚悟しなければなるまい。

 クーパーは、この急所のわからない怪物をまったくもてあましてしまった。どうすれば怪物がまいるのか、けんとうがつかないのだ。

 ぴしりッ!

 ついに目の上を、ひどく打たれた。

 クーパーの網膜(もうまく)に、キラ、キラ、キラと星が散った。そして急にあたりがぼーっと見えなくなった。怪物の足が小またをすくいあげた。

 それから、クーパーは、ひとりでも相手をたおして死をのがれようとあばれまわった。こぶしをかためて、相手のところきらわずぶんなぐった。顔のへんにぞろりとあたるものを、歯をもってがぶりとかみついた。両足をもって宙をけとばした。もうなんとでもなれである。

 その格闘は、一年もながくつづいたように思った。それほど張りきった気持の数十分であった。クーパーは、ついに死んだようにぐったりとなった。もうすっかり気力も、体力も出きってしまったのだった。

「マルラ、いないか。おい、パイクソン」

 クーパーは、くるしい声をひきしぼって、ふたりの仲間の名をよんだ。

 しかし、だれもそれに返事をしなかった。

 そのうちにクーパーは、自分のからだがふわりと浮きあがったのを感じた。まるでスプリングの上にのっているような気持だった。

 キキキッ、キキキキッ、キッ。

「おやっ」

 かれは首をもたげて、眼をしばたたいた。

 このとき、ぼんやりとしたあたりの景色が目にうつった。――クーパーのまわりには、れいの怪物がうようようごめいていることを知った。クーパーは怪物群にかつぎあげられているのだ。それとわかってみても、かれにはもがくだけの体力もなかった。

 怪物群はクーパーを肩にして、クイーン・メリー号の舷側をこえた。そして漠然(ばくぜん)たる空間を、ゆうゆうとむこうへ行く。

 クーパーはどこへつれていかれるのだろう? かれの運命はどうなる?

 パイクソンやマルラは、どうしたのだろう。この奇異(きい)な怪物の正体は一体なんであろう。

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