45話 王さまの尋問
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そのうちに、一ぴき――というか、ひとりというか、とにかく海底超人がクーパーの前へやってきてちょこなんとすわった。
「いかがですな。わたしが申している言葉が、あなたに通じるでしょうな。さあ、返事をしてみてください」
そういう言葉は、よくクーパーに聞きとれた。たいへんていちょうな言葉づかいであった。クーパーはすこし気をよくした。
「さっきから、あなたがたの話がよくわかるようになりました。ずいぶん、ぼくの悪口をいっている人――がありますね。みな聞こえていますよ」
するとその超人はあわてて後をむいて、こっちをじろじろみながら悪たれ口をたたいている連中の方に手でなにか合図をした。それはしかっているらしかった。
そうしておいて、超人はふたたびクーパーの方にむきなおり、
「いや、どうもしようがないのですよ、あの子供たちは」
「はーん、あれは子供なんですか」
「そうです、子供です。まだ体の発育期でしてな、礼儀もなんにも教えてないんです」
「ははあ、この国でもやはり礼儀なんてものを教えるのですか」
「もちろんです。世の中はすべては礼儀から出発しなければ、うまくおさまりません。――ところで、王さまアトラ殿下が、ぜひあなたにお会いして、いろいろうかがいたいとおっしゃるのです。むこうへ行って、お話をきかせてくれませんか」
そういって超人は、むこうを指した。高い台の上では、王さまアトラ殿下が、大きな頭を重そうにぶらぶらふって、クーパーの方を見ていた。
「よろしい、行きましょう。しかし、いっておきますがね、わたしを見世物あつかいはよして下さい。無礼なことをなされたり、また危害を加えられるようなことがあれば、わたしは人類の名誉のために、いのちをかけてもたたかいをいどみますよ。いいですかね」
と、クーパーはちょっぴり、からいところを見せた。
「そんなことはありません。失礼のないように十分に心がけます。わたし――外務大臣ランタの名誉にかけてちかいます」
「そうですか。そんならいいのです」
外務大臣ランタは、そこでクーパーをつれて、王さまアトラ殿下の前へ出た。
「殿下。人間の代表者をつれてまいりました。名前はクーパー。あのクイーン・メリー号の事務長をつとめている、なかなか礼儀正しい人物であります」
と紹介をすると、でか頭の王さまは、ますます頭を左右につよくふりながら、
「ああそうか。こっちへ近よって大いにくつろげ、といってくれ」
ランタはクーパーの方をふりかえって、
「お聞きのとおりです。さあ、ここへ来て十分くつろいでください」
といって、王さまの前にある、ぶよぶよした座ぶとんみたいなものを指した。
さて、いよいよ海底超人の王さまとクーパーのみょうな初対面がはじまることとなった。