海底大陸

45話 王さまの尋問

1,130字 約2分 2013年5月17日 公開

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 そのうちに、一ぴき――というか、ひとりというか、とにかく海底超人がクーパーの前へやってきてちょこなんとすわった。

「いかがですな。わたしが申している言葉が、あなたに通じるでしょうな。さあ、返事をしてみてください」

 そういう言葉は、よくクーパーに聞きとれた。たいへんていちょうな言葉づかいであった。クーパーはすこし気をよくした。

「さっきから、あなたがたの話がよくわかるようになりました。ずいぶん、ぼくの悪口をいっている人――がありますね。みな聞こえていますよ」

 するとその超人はあわてて後をむいて、こっちをじろじろみながら(あく)たれ(ぐち)をたたいている連中の方に手でなにか合図をした。それはしかっているらしかった。

 そうしておいて、超人はふたたびクーパーの方にむきなおり、

「いや、どうもしようがないのですよ、あの子供たちは」

「はーん、あれは子供なんですか」

「そうです、子供です。まだ体の発育期でしてな、礼儀(れいぎ)もなんにも教えてないんです」

「ははあ、この国でもやはり礼儀なんてものを教えるのですか」

「もちろんです。世の中はすべては礼儀から出発しなければ、うまくおさまりません。――ところで、王さまアトラ殿下が、ぜひあなたにお会いして、いろいろうかがいたいとおっしゃるのです。むこうへ行って、お話をきかせてくれませんか」

 そういって超人は、むこうを指した。高い台の上では、王さまアトラ殿下が、大きな頭を重そうにぶらぶらふって、クーパーの方を見ていた。

「よろしい、行きましょう。しかし、いっておきますがね、わたしを見世物(みせもの)あつかいはよして下さい。無礼(ぶれい)なことをなされたり、また危害を加えられるようなことがあれば、わたしは人類の名誉のために、いのちをかけてもたたかいをいどみますよ。いいですかね」

 と、クーパーはちょっぴり、からいところを見せた。

「そんなことはありません。失礼のないように十分に心がけます。わたし――外務大臣ランタの名誉にかけてちかいます」

「そうですか。そんならいいのです」

 外務大臣ランタは、そこでクーパーをつれて、王さまアトラ殿下の前へ出た。

「殿下。人間の代表者をつれてまいりました。名前はクーパー。あのクイーン・メリー号の事務長をつとめている、なかなか礼儀正しい人物であります」

 と紹介をすると、でか頭の王さまは、ますます頭を左右につよくふりながら、

「ああそうか。こっちへ近よって大いにくつろげ、といってくれ」

 ランタはクーパーの方をふりかえって、

「お聞きのとおりです。さあ、ここへ来て十分くつろいでください」

 といって、王さまの前にある、ぶよぶよした()ぶとんみたいなものを指した。

 さて、いよいよ海底超人の王さまとクーパーのみょうな初対面(しょたいめん)がはじまることとなった。

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