58話 やあ! ラスキン大尉
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おびただしい光弾に照らしだされた、はげっちょろのクイーン・メリー号!
その甲板の上には、ぶよぶよした大きなまるい頭が二、三百、嘔吐をもよおすほどの不気味な光景をていしながら、ごったがえしてもみあっている。
「おい、へんなことになってきたぞ。どうしようか」
「フネをかえしてやったのに、なんだかおだやかでないことをやるじゃないか」
「ロロー殿下に相談してみよう。その上でわれわれの態度をはっきりきめようではないか」
などといった意味のことを、海底超人たちはくちぐちにさけびあっているのであった。
こっちは事務長クーパーである。
かれは船底無電室にいるパイクソンをはげまして、外部との無線電話を、事務長の部屋から送受できるように、電気回路の接続をかえさせた。
それがうまく開通すると、かれはさっそく救援にきてくれた空軍と連絡をとった。
「え、あなたはラスキン大尉!」クーパーはびっくりして声を大きくした。「ああ、おなつかしいことです。わたしは事務長クーパーですよ。あなたの家とわたしの家とは、同じグラスゴー市のスター街に向きあっていましたね。よくきてくださった……」
ラスキン大尉は、機上からクーパーたちに元気をつけ、
「こんどこそは『鉄の水母』も、それから、その眷属だという怪しい生物も、いっしょにやっつけてしまいます」
と、勇ましい口調でいって、
「しかし、よわったことに機上から見ると、その怪物どもは甲板にうようよしているばかりで、逃げださないのですよ。このままではまさか爆撃するわけにもいきませんね」
「しかし、ラスキン大尉。なんとかして、この怪物どもを甲板から追っぱらってください」
「じゃ、やむをえません。非常手段を用いましょう」
「えっ、非常手段。空中から本船を爆撃するのじゃありますまいね。そんなことをすると――」
「もちろんせっかくもどってきたメリー号を破壊するようなことはしませんよ。催涙液を空中からまきます」
「催涙液? ああ、あの液のことですね」
「そうです。ですから船員や乗客たちは、すこしもはやく船内に避難するようにいってください。そして戸などをかたくとじて、液やその怪物が船内にはいりこまないようにするんですね。よろしいか」
「ああ、よくわかりました。ではあと十分間に、総員を船内に避難させます」
空中から甲板にむかって液をまくとはたいへんいい考えだ。これで安全性がふえると、クーパーは、うちょうてんになってよろこんだ。
ただちに、船内くまなく警報は発せられた。