海底大陸

9話 怪物を追う

875字 約2分 2013年5月17日 公開

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 二機の偵察機は、変妙な怪物を追うため、ぐっと下げかじをとり、波間とスレスレの低空飛行にうつった。

「へんなかっこうをしているが、しかしどうも潜水艦くさい!」

 と、司令のラスキン大尉が双眼鏡を目におしあてたままさけんだ。

 偵察機は、一たび怪物の頭上をとびこえると、またグルリと旋回して、ふたたび波間の怪物めがけて強襲していった。

「おい、ハーン信号兵。停船命令をかかげろ!」

 ラスキン大尉の命令で、偵察機の尾部からは落下傘仕掛けの信号旗がおとされた。「タダチニ停船セヨ」との信号だった。そうして、機は怪物の上をすれすれに飛んだ。

 だが怪物は、その停船信号をきかなかった。きかなかったばかりではない。重そうな鋼鉄ばりの頭をグラグラとゆすぶると、しだいに波間にからだを沈めていくようすだ。

 このようすを見るより、ラスキン大尉はじめ偵察機の乗組員はむかむかとしてきた。英国海軍の厳然(げんぜん)たる命令をあざ笑うにひとしい怪物のずうずうしい態度だ。

 なにしろ洋上は荒れているので、晴れたおだやかな日のように、上から海中の姿を見すかすことができなかったから、せっかく発見した洋上の怪物に、ここでずぶずぶと海面下にかくれられてはおしまいだった。

 司令ラスキン大尉は気をもんだ。こうなれば、最後の手段だ!

「戦闘用意! ()ち方始め! 射撃目標は潜水艦!」

 僚機にも信号が送られた。ラスキン大尉は双眼鏡をすばやくしまって、機関銃座にしがみついた。

「射て!」

 で、射程にはいった怪物にむけて、猛烈な機関砲の射撃がはじまった。

 口径二十三ミリの砲弾はドドドッとものすごいひびきをたてて、怪物の上に雨あられと降った。たちまち怪物はこなみじんとなるかと思いのほか、意外にも砲弾はカンカーンとはねかえされた。

「ウヌ!」

 ラスキン大尉が歯がみをして、なおも引き金をひきつづけた。だが怪物はびくともしない。

 そのうちに怪物は、ユラリユラリと気味のわるい灰色の体を波間にかくしてしまった。そしてあとには白いあわがブツブツゆらいでいるばかりだった。

 偵察機は、とうとう怪物をとりにがしてしまったのだ。

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