桃太郎

6話

188字 約1分 1999年1月8日 公開

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 人間の知らない山の奥に雲霧(くもきり)を破った桃の木は今日(こんにち)もなお昔のように、累々(るいるい)と無数の()をつけている。勿論桃太郎を(はら)んでいた実だけはとうに谷川を流れ去ってしまった。しかし未来の天才はまだそれらの実の中に何人とも知らず眠っている。あの大きい八咫鴉(やたがらす)は今度はいつこの木の(こずえ)へもう一度姿を(あら)わすであろう? ああ、未来の天才はまだそれらの実の中に何人とも知らず眠っている。……

(大正十三年六月)

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