14話 口と 手
読み方を変える
さて また 一休さんの とんちばなしに、うつりましょう。
ある日の ことです。おしょうさまが、一休さんを よんで、
「しゅうけん、ほんどうの おとうみょうを けして きなさい。」
と、いいつけました。
「はい。」
一休さんは すたすたと、ほんどうに いって、ふっ ふと、おとうみょうを ふきけしました。
すると、これを みていた おしょうさまが、また、
「しゅうけん、しゅうけん、ちょっと おいで。」と、よびました。
「はい、なんで ございますか。」
一休さんが おしょうさまの まえに くると、おしょうさまは、
「しゅうけん、いま おまえは なにで おとうみょうを けした?」と、ききました。
「はい、口で ふきけしました。」
「それは、いけません。口は いろいろな ものを たべるところです。口の なかは きたなく なっています。その口で、おとうみょうを ふきけしては、ほとけの ばちが あたります。おまえも もう、まるまるの 子どもでは、ありません。そのくらいの ことは おぼえて おきなさい。」
「…………」
はい、と こたえるかと おもいのほか、一休さんは いかにも わからない という かおつきで、
「では、おしょうさま、おきょうも 口で よんでは なりませぬか?」
「なぜじゃ。」
「ただいまの おはなしですと、口は きたないから おとうみょうを ふきけしては いけないと おっしゃいましたが、その きたない 口で、とうとい おきょうを よんでは、なおさら ほとけの ばちが あたりは しないか、と しんぱいです。」
「うむ、なるほど……。」
おしょうさまも、これには へんじの しようが ありません。
しかし、これは けっして へりくつでは ありません。どんな ことも こういう ぐあいにして、わるいところが あらためられて いくのです。