一休さん

14話 口と 手

766字 約2分 2021年6月25日 公開

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 さて また 一休(いっきゅう)さんの とんちばなしに、うつりましょう。

 ある()の ことです。おしょうさまが、一休(いっきゅう)さんを よんで、

「しゅうけん、ほんどうの おとうみょうを けして きなさい。」

 と、いいつけました。

「はい。」

 一休(いっきゅう)さんは すたすたと、ほんどうに いって、ふっ ふと、おとうみょうを ふきけしました。

 すると、これを みていた おしょうさまが、また、

「しゅうけん、しゅうけん、ちょっと おいで。」と、よびました。

「はい、なんで ございますか。」

 一休(いっきゅう)さんが おしょうさまの まえに くると、おしょうさまは、

「しゅうけん、いま おまえは なにで おとうみょうを けした?」と、ききました。

「はい、(くち)で ふきけしました。」

「それは、いけません。(くち)は いろいろな ものを たべるところです。(くち)の なかは きたなく なっています。その(くち)で、おとうみょうを ふきけしては、ほとけの ばちが あたります。おまえも もう、まるまるの ()どもでは、ありません。そのくらいの ことは おぼえて おきなさい。」

「…………」

 はい、と こたえるかと おもいのほか、一休(いっきゅう)さんは いかにも わからない という かおつきで、

「では、おしょうさま、おきょうも (くち)で よんでは なりませぬか?」

「なぜじゃ。」

「ただいまの おはなしですと、(くち)は きたないから おとうみょうを ふきけしては いけないと おっしゃいましたが、その きたない (くち)で、とうとい おきょうを よんでは、なおさら ほとけの ばちが あたりは しないか、と しんぱいです。」

「うむ、なるほど……。」

 おしょうさまも、これには へんじの しようが ありません。

 しかし、これは けっして へりくつでは ありません。どんな ことも こういう ぐあいにして、わるいところが あらためられて いくのです。

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