13話 ほんとうの ぼうさん
読み方を変える
しかし 一休さんは こんな とんちもんどう ばかりして いたのではありません。
おしょうさまに ついて ねっしんに がくもんに はげんで いました。それで、一休さんは ほんとうの にんげんの みち、ほんとうの ぼうさんの みち、と いうものも だんだん わかって いきました。
あるときの ことでした。
一休さんが おしょうさまの おつかいで まちを とおりますと、
「もしもし、あなたは あんこくじの 小ぞうさんでは ございませんか。」
と、ひとり みしらぬ おばあさんが 一休さんを よびとめました。
「はい、そうです。あんこくじの しゅうけんです。なにか ごようでしょうか。」
一休さんが おどろいて たちどまると、おばあさんは 一休さんを おがむように して、
「やっぱり ほとけさまの おみちびきです。」と、いいます。
が、一休さんは なんの ことか わかりません。
「どうしたのですか、おばあさん。」
「はい、はい。じつは けさ はやく おじいさんが なくなったのです。どうぞ いんどうを わたして いただけないでしょうか。もしも おねがいが できれば、ほとけも うかばれます。」
「でも、おばあさん、それでしたら あなたの だんなでらに おねがい したら よくは ありませんか。」
「それが だめなので ございます。わたしの いえは おじいさんの ながわずらいで、一もんの おかねもありません。けさ おてらに いんどうを わたして ください とたのみに いきましたら、おてらさんでは、わたしが おふせを だせないことを しっていて、きて くれません。どうぞ おねがいします。」
おばあさんは かなしそうに なみだを ながして ぴたりと じべたに すわり、一休さんに 手をあわせて たのみました。
「そうですか。」
一休さんは ぐっと むねが あつく なりました。おばあさんが かわいそうなのと、それよりも おふせが だせないからと いって、おきょうも あげてやらない その てらの ぼうさんに たいする いきどおり のためでした。
ぶっきょうの もとを ひらかれた おしゃかさまは おうじの みぶんを すてて、山に はいり、こじきのような くらしを しながら、だれにでも おんなじに おきょうを よんで くれました。
ところが そのころの ぼうさんの なかには おかねもちや、えらいひとにばかり こびへつらって、たくさんの おかねを もらい、ぜいたくを することばかり かんがえている ぼうさんが たくさん いました。
そんなことは ぼうさんと しては、いちばん わるいことです。ほんとうの ぼうさんの みちを みっちりと こころの なかに いれている 一休さんは、はらわたが にえかえるほど いやな きもちになりました。
「ああ、なげかわしい ことだな。」
そう おもうと、
「そうですか。それは こまりましょう。それでは わたしが おきょうを よんで あげましょう。」
と、いって、一休さんは すぐ おばあさんと いっしょに おばあさんの いえに いきました。
なるほど、おばあさんの いえは ひどい いえでした。やねも かべも くずれかかり、ちょっとの かぜにも ふっとんで しまいそうな きたない いえです。
「さあ おばあさん、おきょうを よんで あげましょう。」
一休さんは ねんごろに おきょうを あげてやりました。おばあさんは、
「あなたは いきぼとけさまだ。」
と、いって よろこびました。