一休さん

13話 ほんとうの ぼうさん

1,450字 約3分 2021年6月25日 公開

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 しかし 一休(いっきゅう)さんは こんな とんちもんどう ばかりして いたのではありません。

 おしょうさまに ついて ねっしんに がくもんに はげんで いました。それで、一休(いっきゅう)さんは ほんとうの にんげんの みち、ほんとうの ぼうさんの みち、と いうものも だんだん わかって いきました。

 あるときの ことでした。

 一休(いっきゅう)さんが おしょうさまの おつかいで まちを とおりますと、

「もしもし、あなたは あんこくじの ()ぞうさんでは ございませんか。」

 と、ひとり みしらぬ おばあさんが 一休(いっきゅう)さんを よびとめました。

「はい、そうです。あんこくじの しゅうけんです。なにか ごようでしょうか。」

 一休(いっきゅう)さんが おどろいて たちどまると、おばあさんは 一休(いっきゅう)さんを おがむように して、

「やっぱり ほとけさまの おみちびきです。」と、いいます。

 が、一休(いっきゅう)さんは なんの ことか わかりません。

「どうしたのですか、おばあさん。」

「はい、はい。じつは けさ はやく おじいさんが なくなったのです。どうぞ いんどうを わたして いただけないでしょうか。もしも おねがいが できれば、ほとけも うかばれます。」

「でも、おばあさん、それでしたら あなたの だんなでらに おねがい したら よくは ありませんか。」

「それが だめなので ございます。わたしの いえは おじいさんの ながわずらいで、一もんの おかねもありません。けさ おてらに いんどうを わたして ください とたのみに いきましたら、おてらさんでは、わたしが おふせを だせないことを しっていて、きて くれません。どうぞ おねがいします。」

 おばあさんは かなしそうに なみだを ながして ぴたりと じべたに すわり、一休(いっきゅう)さんに ()をあわせて たのみました。

「そうですか。」

 一休(いっきゅう)さんは ぐっと むねが あつく なりました。おばあさんが かわいそうなのと、それよりも おふせが だせないからと いって、おきょうも あげてやらない その てらの ぼうさんに たいする いきどおり のためでした。

 ぶっきょうの もとを ひらかれた おしゃかさまは おうじの みぶんを すてて、(やま)に はいり、こじきのような くらしを しながら、だれにでも おんなじに おきょうを よんで くれました。

 ところが そのころの ぼうさんの なかには おかねもちや、えらいひとにばかり こびへつらって、たくさんの おかねを もらい、ぜいたくを することばかり かんがえている ぼうさんが たくさん いました。

 そんなことは ぼうさんと しては、いちばん わるいことです。ほんとうの ぼうさんの みちを みっちりと こころの なかに いれている 一休(いっきゅう)さんは、はらわたが にえかえるほど いやな きもちになりました。

「ああ、なげかわしい ことだな。」

 そう おもうと、

「そうですか。それは こまりましょう。それでは わたしが おきょうを よんで あげましょう。」

 と、いって、一休(いっきゅう)さんは すぐ おばあさんと いっしょに おばあさんの いえに いきました。

 なるほど、おばあさんの いえは ひどい いえでした。やねも かべも くずれかかり、ちょっとの かぜにも ふっとんで しまいそうな きたない いえです。

「さあ おばあさん、おきょうを よんで あげましょう。」

 一休(いっきゅう)さんは ねんごろに おきょうを あげてやりました。おばあさんは、

「あなたは いきぼとけさまだ。」

 と、いって よろこびました。

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