一休さん

9話 はし」に傍点] わたるな[#「この はし わたるな

1,330字 約3分 2021年6月25日 公開

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 つぎの ()、じくさいさんの おつかいが おしょうさまに てがみを もって きました。ひらいて みると、

「ゆうがた、ごちそう したいから、しゅうけんさんを つれて あそびに きてください。」と、かいて あります。

 おしょうさまは、にこにこ わらいながら、一休(いっきゅう)さんを よんで、

「しゅうけん、じくさいさんが、こんな てがみを よこしたよ。きっと きのうの かたきうちを するつもりだよ。」

 と、いいました。

「ははあ、じくさいさん よっぽど くやしかったと みえますね、おしょうさま。」

 一休(いっきゅう)さんも にこにこ しています。

 ゆうがた 一休(いっきゅう)さんは おしょうさまに つれられて、じくさいさんの いえに でかけました。

 じくさいさんの いえは (おお)きな おやしきで、やしきの まえに おがわが ながれ、そのかわに はしが かかっていました。

 おしょうさまと 一休(いっきゅう)さんが そのはしを わたろうとすると、どうでしょう、つぎのような たてふだが たっていました。

この はし わたるな

「おやおや、やっぱりだね、しゅうけん。」

 おしょうさまは そう いって うしろの 一休(いっきゅう)さんを ふりかえりました。

「つまんないこと かいてありますね。」

 しかし、一休(いっきゅう)さんは おどろきません。

「おしょうさま、まんなかを わたって いきましょう。」

「だって、はしを わたっては いけない、と かいてあるでは ないか。」

「だから、まんなかを わたるのです、おしょうさま。この たてふだには、わざと はしを かんじで かかないで、はしと かなで かいて あります。これが なぞを とく かぎですよ、おしょうさま。」

 一休(いっきゅう)さんは そう いうと、すたすたと はしの まんなかを わたっていきます。

 じくさいさんは いえの まえまで でて、一休(いっきゅう)さんが どうするだろう、と ながめていました。

 すると 一休(いっきゅう)さんと おしょうさまが、へいきな かおで はしを わたって きたので、

「しゅうけんさん、おまえさんは あの たてふだが みえなかったのかね。」

 と、いいました。

「いいえ。わたしは このとおり (ふた)つの めが ちゃんと そろって いますから、たてふだは よく みてきました。」

「なに、みてきた。――では、なぜ はしを わたってきましたか。」

「いいえ。はしの ほうを わたっては いけないと かいて ありましたから、まんなかを わたって きました。じくさいさん、この はしは はしの ほうが くさって いるんですか。そうでしたら、あぶないから はやく なおしておいて ください。」

 一休(いっきゅう)さんが すました かおで いうので、じくさいさんは、また、

「まいった。」

 と、おもわず ひたいを たたいて、おしょうさまに、

「しゅうけんさんの とんちには、おとなの わたしも とても かないません。」と いって、したを まいてしまいましたが、すぐ おもいかえして、

「でも、しゅうけんさん、こんどは まけませんよ。しゅうけんさんとの とんちきょうそうは これからですよ。」

 と、いいながら にこにこして、おしょうさまと 一休(いっきゅう)さんを ざしきに あんないしました。

 さて、じくさいさんは どんな、なんもんを ようい しているのでしょう?

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