9話 はし」に傍点] わたるな[#「この はし わたるな
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つぎの 日、じくさいさんの おつかいが おしょうさまに てがみを もって きました。ひらいて みると、
「ゆうがた、ごちそう したいから、しゅうけんさんを つれて あそびに きてください。」と、かいて あります。
おしょうさまは、にこにこ わらいながら、一休さんを よんで、
「しゅうけん、じくさいさんが、こんな てがみを よこしたよ。きっと きのうの かたきうちを するつもりだよ。」
と、いいました。
「ははあ、じくさいさん よっぽど くやしかったと みえますね、おしょうさま。」
一休さんも にこにこ しています。
ゆうがた 一休さんは おしょうさまに つれられて、じくさいさんの いえに でかけました。
じくさいさんの いえは 大きな おやしきで、やしきの まえに おがわが ながれ、そのかわに はしが かかっていました。
おしょうさまと 一休さんが そのはしを わたろうとすると、どうでしょう、つぎのような たてふだが たっていました。
この はし わたるな
「おやおや、やっぱりだね、しゅうけん。」
おしょうさまは そう いって うしろの 一休さんを ふりかえりました。
「つまんないこと かいてありますね。」
しかし、一休さんは おどろきません。
「おしょうさま、まんなかを わたって いきましょう。」
「だって、はしを わたっては いけない、と かいてあるでは ないか。」
「だから、まんなかを わたるのです、おしょうさま。この たてふだには、わざと はしを かんじで かかないで、はしと かなで かいて あります。これが なぞを とく かぎですよ、おしょうさま。」
一休さんは そう いうと、すたすたと はしの まんなかを わたっていきます。
じくさいさんは いえの まえまで でて、一休さんが どうするだろう、と ながめていました。
すると 一休さんと おしょうさまが、へいきな かおで はしを わたって きたので、
「しゅうけんさん、おまえさんは あの たてふだが みえなかったのかね。」
と、いいました。
「いいえ。わたしは このとおり 二つの めが ちゃんと そろって いますから、たてふだは よく みてきました。」
「なに、みてきた。――では、なぜ はしを わたってきましたか。」
「いいえ。はしの ほうを わたっては いけないと かいて ありましたから、まんなかを わたって きました。じくさいさん、この はしは はしの ほうが くさって いるんですか。そうでしたら、あぶないから はやく なおしておいて ください。」
一休さんが すました かおで いうので、じくさいさんは、また、
「まいった。」
と、おもわず ひたいを たたいて、おしょうさまに、
「しゅうけんさんの とんちには、おとなの わたしも とても かないません。」と いって、したを まいてしまいましたが、すぐ おもいかえして、
「でも、しゅうけんさん、こんどは まけませんよ。しゅうけんさんとの とんちきょうそうは これからですよ。」
と、いいながら にこにこして、おしょうさまと 一休さんを ざしきに あんないしました。
さて、じくさいさんは どんな、なんもんを ようい しているのでしょう?