10話 したから うえに さがるもの
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りっぱな へやに たくさんの ごちそうが はこばれてきました。
くいしんぼうの 一休さんは ごくごくと のどを ならして、
「どれから さきに たべようかな。」
と、おぜんの うえを にらんでいました。
すると じくさいさんは、ゆうゆうと おちつきはらって、
「さて、しゅうけんさん、わたしが これから なんもんを だしますから、りっぱに こたえてください。もし、しゅうけんさんが わたしの なんもんに こたえられなかったら、今日の ごちそうは おあずけにします。」
と、いじの わるいことを いいだしました。
一休さんは くやしそうに じろりと じくさいさんの かおを にらみつけましたが、ぐっと がまんして、
「さっきの かたきうちですか。だめですよ じくさいさん、おやめに なった ほうが よいでしょう。」
やせがまんを いいます。
「なあに、こんどこそ しゅうけんさんを ぎゅう というめに あわしますよ。」
じくさいさんは、そう いって おいて、
「しゅうけんさん、したから うえに さがるものは なあに……。」
と、いって、
「さあ、しゅうけんさん、ごちそうばかり ながめて いないで はやく こたえて ください。」
「ははあ、そんなこと わけも ありません。」
一休さんは にこりと して、すらすらと、つぎの ような うたを よみました。
ふじだなの みずに うつりし ふじの はな
したより うえに さがるなりけり
「はい どうです、じくさいさん。では、いただきますよ。」
一休さんは うたいおわると さっそく ごちそうを ぱくつきました。
「えらい、えらい。やっぱり わたしは しゅうけんさんに かないません。さあ、たくさん、めしあがってください。」
じくさいさんは 大よろこびで いいました。
こんなふうに まけても かっても こだわらないで よろこんで いるのが、ぜんしゅうと いう しゅうしの えらい ところです。