一休さん

10話 したから うえに さがるもの

811字 約2分 2021年6月25日 公開

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 りっぱな へやに たくさんの ごちそうが はこばれてきました。

 くいしんぼうの 一休(いっきゅう)さんは ごくごくと のどを ならして、

「どれから さきに たべようかな。」

 と、おぜんの うえを にらんでいました。

 すると じくさいさんは、ゆうゆうと おちつきはらって、

「さて、しゅうけんさん、わたしが これから なんもんを だしますから、りっぱに こたえてください。もし、しゅうけんさんが わたしの なんもんに こたえられなかったら、今日(きょう)の ごちそうは おあずけにします。」

 と、いじの わるいことを いいだしました。

 一休(いっきゅう)さんは くやしそうに じろりと じくさいさんの かおを にらみつけましたが、ぐっと がまんして、

「さっきの かたきうちですか。だめですよ じくさいさん、おやめに なった ほうが よいでしょう。」

 やせがまんを いいます。

「なあに、こんどこそ しゅうけんさんを ぎゅう というめに あわしますよ。」

 じくさいさんは、そう いって おいて、

「しゅうけんさん、したから うえに さがるものは なあに……。」

 と、いって、

「さあ、しゅうけんさん、ごちそうばかり ながめて いないで はやく こたえて ください。」

「ははあ、そんなこと わけも ありません。」

 一休(いっきゅう)さんは にこりと して、すらすらと、つぎの ような うたを よみました。

ふじだなの みずに うつりし ふじの はな

  したより うえに さがるなりけり

「はい どうです、じくさいさん。では、いただきますよ。」

 一休(いっきゅう)さんは うたいおわると さっそく ごちそうを ぱくつきました。

「えらい、えらい。やっぱり わたしは しゅうけんさんに かないません。さあ、たくさん、めしあがってください。」

 じくさいさんは (おお)よろこびで いいました。

 こんなふうに まけても かっても こだわらないで よろこんで いるのが、ぜんしゅうと いう しゅうしの えらい ところです。

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