4話 探偵小説の「謎」(4)
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ここに一つの完全に密閉された洋室がある。すべての窓に内側から留め金がかかり、すべてのドアに内側から鍵がかかっている。その部屋の中で一人の人物が殺されている。不審をいだいた人々が、合鍵がないので、ドアをうち破って室内にはいって見ると、死体が横たわっている。ところが、不思議なことには、犯人の姿がどこにも見えない。内部から締りをした部屋だから、犯人の逃げ出す道はどこにもなかったはずだ。よく調べて見ても、天井にも、壁にも、床板にも、隠し戸などは全くない。暖炉の煙突は狭くて幼児でも通りぬけられない。換気窓も同様に狭い。人間一人煙のように消えうせるか、ナメクジのように伸縮自在のからだになって、ドアの下部の隙間からでも這い出したとしか考えられない。
実に不気味な、不可思議な謎である。もしこの全く不可能にみえる謎を、合理的に解いてみせることができたら、どんなに痛快だろうというのが、小説としての密室トリックの起りである。探偵小説は、一見不可能に見える異状な謎を、機智と論理によって、明快に解いてみせる面白味が中心となっているものだが、そういう興味の典型的なものが、この密室事件なのである。文章で描かれた不可能な情況というものは、どこかに隙間があるように思われ、確固不動の感じを与えにくいのだが、密室となれば、それが幾何学の図式のように具体的で、曖昧なところが少しもなく、不可能感を最も明確に読者に伝えることができるという特徴がある。したがって、在来探偵作家にして、生涯に一度も密室事件を取り扱わなかったものは、一人もないといってもいいし、また、生涯密室事件ばかりと取り組んでいる作家さえ現われたのである。
探偵小説史で、この密室の「不可能」を最も早く主題とした作品はポーの「モルグ街の殺人」であるが、このポーの作品や、ずっと後に出たルルウの「黄色の部屋」にテーマとして示唆を与えた実際の事件があった。私は今から四十余年前、一九一三年十二月号の「ストランド・マガジン」に、ジョージ・シムズがそれを書いているのを読み、いまもノートに貼りつけてある。要約すると、シムズがいまから百年ばかり前と書いているのだから、十九世紀の初め頃と思われるが、パリのモンマルトルのあるアパートの最上階、地上六十呎もある一室に住んでいた Rose Delacourt という娘さんが、昼になっても起きてこないので、警官がドアを打ち破って室に入ると、娘さんはベッドに寝たまま胸を刺されて死んでいた。兇器は刺さったままで、非常な力でやったものとみえ、そのきっ先が背中まで突き通っていた。窓は内部からしまりができていたし、入口の唯一のドアは内部から鍵がかけられ、鍵は鍵穴にさしたままで、その上閂までかかっていた。唯一の通路は暖炉の煙突だが、調べてみると、どんなに痩せた人間でも通りぬけることは不可能であった。盗難品は何もなく、怨恨関係も捜査線上に現われてこなかった。この事件は其後犯罪研究家によって論議されたが、百年後の今日(一九一三年)に至るも未解決のまま残っているというのである。
しかし、密室の謎を扱った物語は、もっとずっと古代までさかのぼることができる。紀元前五世紀のヘロドトスの「歴史」の中に紀元前一二〇〇年ごろのエジプト王ランプシニトスの話があり、密室の謎の原始形が見られる。王の宝庫を建てることを命じられた建築技師が、自分の子供たちのために、秘密の抜け穴を作っておいて、その開き方を遺言し、息子たちがそこから忍びこんで宝物を盗み出す話である。同じギリシアの紀元前二世紀の作家パウサニアスも、建築家アガメデスとトロポニオスの話で、同じ抜け穴のある密室の謎を書いている。
いま一つの古い例は旧約聖書のアポクリファ(外典)にある「ベルの物語」である。バビロン王はベルという偶像神を崇拝していた。羊や穀物やあまたのお供物をそなえて、神殿の扉をとざし、錠をかけて誰も出入りできないようにしておいても、一夜の内にお供物が消えてなくなる。密室の怪である。これはベル神が喰べてしまうのだと信じられていたのを、ダニエルという青年が探偵の役目を勤めて、その秘密のカラクリを暴露する。神殿内の祭壇の下に秘密の通路ができていて、夜中そこから、坊主共が忍びこみ、お供物を持ち去っていたのである。
ヘロドトスにしても聖書外典にしても、秘密の出入口があるので、いまの目で見れば、アンフェアな密室の謎だが、そういえばポーの「モルグ街」にしても、窓のさし釘が内部で折れていたというアンフェアなものである。では、そういう欠点のない最初の「密室」小説は何であろうか。ドイルの「まだらの紐」(それの収められた「ホームズの冒険」は一八九二年出版)とザングウィルの長篇(一八九一年出版)とがほとんど同じころに書かれたが、「まだらの紐」の単純さに比べて、密室としてはやはり後者の長篇の方が読みごたえがある。この作品は、西洋でも大して問題にされていないけれど、当時としては最も進んだ密室トリックを用い、またいま一つの大トリックに先鞭をつけている意味で、大いに重視しなければならない。
さて、私は各種のトリックを、犯行時、犯人が室内にいなかったもの 犯行時、犯人が室内にいたもの 犯人と被害者が室内にいなかったものの三つに大別し、それをまた小分けして以下しるすように分類してみた。
西洋の作家で「密室の分類」を試みた例を二つ知っている。一つはカーの「三つの棺」の「密室講義」の章、もう一つはクレイトン・ロースンの「シルクハットから飛び出す死」(未訳)の「質問する勿れ」の章である。後者は奇術師探偵マーリニがカーの主人公フェル博士の「密室講義」を利用して、カーとは少しちがった分類をしているが、両方とも(A)「真実の密室、犯人は脱出不可能であった。したがって犯人は犯行時室内にいなかったもの」、(B)「見せかけの密室、犯人が犯行後脱出したあとで密室を構成したもの」に二大別し、カーのフェル博士は(A)を七項目に、(B)を五項目に分けているのに比べ、マーリニは(A)を九項目に、(B)を五項目に分け、更らに(C)の一項目を新しくつけ加えている。
私の左の分類は、この両者を参照したが、私のは両者と少しちがった統一原理によっているし、両者にないものも多少加わっているので、対照のために、私の各項目の下にカッコして、(F・A・1)(M・B・2)の如く附記しておく。Fはフェル博士の分類、Mはマーリニの分類を意味し、A・Bはそれぞれの大分類、1・2などはそれぞれの小分類の項目番号をあらわす。
(A)犯行時、犯人が室内にいなかったもの
(1)室内の機械的な装置によるもの(F・A・3)(M・A・4)
★電話の受話器をとると送話口から弾丸発射 ★受話器に強電流を通じておいて、それを持った者を殺す ★壁穴にピストルを仕掛けておいて、その蓋をとると発射 ★置時計や掛時計のネジを捲くと、時計の内部から弾丸発射 ★高い天井に重い短剣を糸でつるし、その糸を壁伝いに床にのばし、被害者が室にはいってドアに鍵をかけ、二三歩あるくと、その糸につまづき、その拍子に天井の糸が切れて短剣が被害者の上に落下する ★天井から重い植木鉢の吊ってある部屋で、それを紐で一方へ引っぱっておいて、被害者がそこからのびた紐にさわると、植木鉢が振子になって、被害者の頭にぶつかる ★ベッドに毒ガス発生装置をしておいて、そこに寝たものを睡眠中に殺す ★氷が溶けまたは凍る時の重さの変化を利用して、針金などのメカニズムで壁に装置したピストルを発射せしめる ★化学薬品による時限放火 ★時計と電流による時限爆弾で火災をおこす。いずれも著名作家の作例があるが、仕掛けが機械的にすぎ、幼稚なトリックたるをまぬがれない。
(2)室外よりの遠隔殺人(少し開いた窓、ただし地上三階以上の室にて、窓より侵入、脱出は不可能、または小さな隙間のある密室)(F・A・6)(M・A・6)
★向側のビルの窓から、ツバのない短剣を銃に装填して射つ ★窓を通して岩塩で作った弾丸をうちこむ。岩塩は被害者の体内で溶けてしまう ★被害者が窓から首を出したときに、一階上の窓から輪になった縄を下げ、つるし上げて絞殺、そのまま死体を裏の窓から地上におろし、共犯者が、それをそこの林の木の枝にさげて縊死を装わしめる ★窓外からうったピストルを室内に投げこみ、被害者の衣服にあらかじめ焔硝のあとをつけておいて、室内からうったように見せかける【以下は窓または隙間が一階の密室にある場合】レイジイ・トングズ(型ののびちぢみするおもちゃ)で、夜、少しひらいた窓のカーテンの合せ目から、室内の卓上の兇器をつまんで、別の兇器と取りかえ、証拠を湮滅する ★絹糸を結びつけた毒矢を隙間からうちこんで、被害者を斃し、後でそとへたぐり出す。
そのほか数行では説明できないこの種のトリックがいろいろあるが、非常に有名な作品の例を一つだけしるすと、★被害者は密閉された部屋で、小さい毒矢で胸をうたれて死んでいる。どこにも隙間がない。通風孔にもこまかい金網が張ってある。窓ガラスやドアの鏡板をはずした形跡は全くない。それにもかかわらず、名探偵は「この部屋には四角な窓がある」と断言する。警察官がいくら考えても、四角な窓は発見されない。それは純洋室には必ずある四角な窓である。サア、どこでしょう? ――種明かし、ドアのノッブ(把手)です。丸い握りのついたドアのノッブの心棒の金属は四角な棒である。それの通っている穴も四角で、そのドアの中にある四角の穴そのものが回転するようにできている。この四角の棒に丸い握りの部分をはめて、ネジ釘でとめてある。先ず外の方の握りのネジをドライバーではずし、心棒ばかりにして、それを細い針金でくくり、心棒をソッと室内へ突きおとす。針金がついているので床には落ちないで宙にさがっている。そのあとに小さい四角な穴がひらく。これが「四角な窓」である。被害者が内部からドアに近づくのを見すまして、半弓で細い毒矢を、その穴から射込む。目的を達したら、針金をうまく引っぱって、心棒を元の通りに引き出し、握りをネジ釘でとめて、指紋を拭いて立ち去るという順序である。
このトリックに対して、アメリカのある少年作家が挑戦した。四角な窓も面白いが、ドアにはもっと簡単な盲点がありますよというのだ。それは、二つの部屋があって、奥の部屋に被害者となるべき男が一人で腰かけている。二つの部屋の境のドアは壁と直角にひらいたままになっている。奥の部屋にはそのドア以外に絶対に隙間がない。次の間には道路に面した窓がひらいているし、外へ出るドアもあって、開放的である。この次の間の窓の前の椅子に一人の女が腰かけている。その状態で銃声が聞こえ、奥の部屋の男が斃れる。この場合ピストルをうち得たものは、次の間にいた女の外に考えられないので、嫌疑がかかるが、彼女は犯人ではなかった。兇器のピストルも発見されない。――この謎の種あかし。新型の大きな蝶番のついているドアは、壁と直角にひらくと、蝶番のところに幅一寸ほどの縦に長い隙間ができる。ピストルの名手の真犯人が、次の間の窓の外から、その隙間を通して被害者をうった。女は窓に背を向けて腰かけていたので、それがわからなかったのである。
(3)自殺ではなくて、被害者自らの手で死に至らしめるトリック(F・A・2)(M・A・3)
★虫歯の治療中、虫歯につめたゴムがかけて、そこから出血している隙を利用し、直接血にまじらなければ効果のない毒薬クラーレを鎮痛薬を入れた小瓶にまぜ、被害者に夜中に呑めと与える。被害者は密室の中で、それをのみ、クラーレ毒が歯の出血部から血管に入って死ぬ。犯人は発見者の中にまじって、先に室に入り、問題の小瓶を隠すという方法 ★あらかじめ怪談的な心理恐怖を与えて、または室外から有毒ガスを入れるなどの方法で、被害者を錯乱に陥らせ、家具に頭をぶっつけたり、あるいは所持の兇器で自殺させたりする(フェル博士の講義の例)
(4)]密室内で他殺を装う自殺(F・A・4)(M・A・2)
★別項「兇器としての氷」の「氷の短剣」を参照。あれを密室で行えばこのトリックになる ★横溝正史「本陣殺人事件」もこの適例。
(5)自殺を装う他殺(F・Mとも無し)
★巨大なギムナジウムの建物の中に一人でこもって、断食の苦行をしていた行者が、数日たっても出てこないので、内部から鍵のかけてあるドアを破って調べてみると、行者は寝台に横たわったまま餓死していた。寝台のそばの棚の上にいろいろな食物が豊富に並んでいたが、それには全く手がついていない。断食行者の意志力が人々を驚嘆せしめる。しかし、これが実は他殺であった。行者は莫大な生命保険をかけ、その受取り人を四人の印度人の弟子にしてあった。四人の弟子はその保険金ほしさに、奇抜な方法で行者を殺したのである。行者が室内で睡眠剤を呑むように段取りをつけておいて、熟睡したころを見はからい、先に鉤のついた長い綱を四本用意して、四人がギムナジウムの高い屋根にのぼる。屋根の頂上に明り取りの窓がある。人間の出入りはできないけれども、空気抜きの横木の隙間から手ぐらいは入れられる。四人は鉤のある綱を一本づつ持って、その隙間から室内にたらし、鉤を行者の寝台の四つの脚に引っかけ、力をあわせて寝台を天井の近くまで吊りあげる。そして、綱を明り窓の棒にくくりつけ、寝台を宙づりさせたまま屋根を降りて立去る。ギムナジウムの天井は非常に高い上、行者は高所恐怖症と来ているので、眠りから覚めても、とても飛び降りる気にはなれぬ。はるか目の下の棚に食物が並んでいるのを見ながら、それを取るすべがない。数日の後、四人の悪漢は再び屋根にのぼって、行者が餓死しているのを見届けると、綱をほどいてソット寝台を元の場所におろし、そのあとで、態とドアを破って、行者の死を発見したていに見せかける。突飛すぎて馬鹿々々しいような話だが、「陸橋殺人事件」の作者であり、また、「探偵小説十戒」の筆者であるノックスがこれを書き、三つの傑作集に選ばれているのである ★前項、上階の窓から首を吊り、下におろして木の枝に縊死を装わしめるトリックも、考え方によってはこの項にも属する。
(6)室内における人間以外の犯人(F・A・6の文中)(M・A・5)
ポーの「モルグ街の殺人」のオラン・ウータン、ドイルの「まだらの紐」の毒蛇、別項のオウムの宝石盗みなど。(後の二例は窓半開または隙間のある密室にも属する)この項で最も巧妙なのは別項「奇矯な着想」にしるした太陽と水瓶の殺人である。ポーストあるいは江戸川が先鞭をつけた。
(B)犯行時、犯人が室内にいたもの
(1) ドア、窓または屋根に施すメカニズム
密室構成のトリックとして、初期にはこの方法が最も多く使われた。大正時代に、ゼンキンズの短篇で、犯人が外に出てから、ドアの内側の鍵穴にはまっている鍵をピンセットと糸の仕掛で廻し、ドアの外から内側の鍵をかけるトリックを読んだときには、非常に面白かったものだが、その後ヴァン・ダインをはじめ多くの作家が、このメカニズムのあらゆる変形を考え出してしまったので、現在ではこの種のトリックは陳腐になり、誰も使わなくなっている。
【イ】 まずドアに仕掛けるメカニズムからはじめる。窓のメカニズムはその応用にすぎないから、あとで簡単に説明すればよろしい。ドアの仕掛けというのは、犯人が被害者を殺して、死体を部屋においてドアから外に出る。そして、ドアをしめ、内側から鍵がかかっていたような状況を、あとから作るのである。つまり、外部から内側の鍵を廻して錠をおろす方法なのである。そうすれば、犯人は絶対に脱出不可能であったという不可思議が成立する。
これには三つの条件がある。一つは、この場合は鍵はたった一つしかなく、合鍵を作る余裕は全くなかったという状況を、読者に明らかにしておかなければならない。もう一つは、西洋風のドアの鍵穴は両方にひらいていて、内側からも、外側からも鍵がさしこめるということ、第三は、西洋のドアには、ドアの下部と床との間に、必ず僅かの隙間があるものだということ、この三つが、ここにしるすトリックの前提条件なのである。
ドアのしまりには、普通鍵と、差し込み錠と、カンヌキと三種あるが、この三種についてそれぞれトリックが考案されている。
第一図
鍵の場合(F・B・1)(M・B・1)〈第一図参照〉★犯人は外に出る前に、ドアの内側から鍵を鍵穴にさしこみ、鍵の根もとの輪になった穴の中へ、火箸のようなものをさし、その一端に丈夫な絹糸などを結びつけ、その糸を下にたらして、ドアと床との隙間から外へ出しておく。そして、外に出てドアをしめ、廊下に出ている糸を引けば、火箸が回転して鍵がかかり、火箸は自然に下に落ちる。それを糸で隙間から外へたぐり出し、ポケットにおさめて立ち去る。火箸でなくても金属の棒ならなんでもよろしい。竹や木だと重味が足りないので、うまく下に落ちないおそれがある。ピンセットでもよろしい。鍵に輪になった個所がない場合は、ピンセットをしめて、鍵の元のほうの遍平な個所をおさえておけば同じ働きをする。この場合落下させるときには、少し強く引かなければなるまい。
★小説ではこの方法が面白いのだが、しかし、実際問題としては、こんな手数をかける必要はない。薄い鋼鉄でできたピンセット型のもので、先は尖らないで薄くなり、その内側にすべらないためのヤスリ目がはいっている道具を用意すればよろしい。犯人は内側の鍵穴に鍵をはめておいて、外に出てドアをしめたあとで、外側の鍵穴からこの道具の先をソッと入れ、探ぐるようにして、内側からはまっている鍵の先端をつまみ、グッと回転させて、錠をおろせばよいのである。この方法は小説としては少しも面白くないが、実際にはまさっている。アメリカなどでは、この道具は犯人社会に知れ渡り、「ウースティーティー」という名前さえついている。
第二図
差し込み錠の場合(F・B・3)(M・B・1)〈第二図参照〉★差し込み錠の根もとの方へ、ピンセットをグッとはめて、ちょっとの力では動かないようにしておいて、そのピンセットの根もとの方に長い絹糸を結びつける。それから、差し込み錠の動く方向の壁に、ピンを強くさして支点とする。ピンセットの糸をこのピンにかけて、下にたらし、ドアの下の隙間から外へ出しておき、これを引けば、差し込み錠がはまる。さらに強く引けばピンセットがはずれて、床におちる。これを糸で隙間からたぐり出す。しかし、それだけでは、まだ壁にピンが残っていて手掛りになるので、ピンの頭にもあらかじめ別の絹糸を結びつけておいて、仕事がすんだあとで、その糸を引いて、ドアの下の隙間から、ピンも外へたぐり出す。ほかにもいろいろやり方があるが、すべてこの原理の応用である。
第三図