105話 おばけの正体 第一〇五項 倒木の再起
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東山道のいずれの地方にて聞きしか地名は忘れたが、ある村社の松の大木が暴風のためにたおれてしまったから、材木屋に売り渡す約束を結び、何日にその木をきることにきめておいた。しかるに当日、材木屋来たってこれをきらんとするに、前夜のうちに、たおれたる木が自然に起き上がり、もとのままに立っていた。これを見たる人々はみな神の所業と信じ、大いに神徳に感銘したが、後になって聞くところによれば、村内の若い者が四、五人申し合わせ、深夜人の知らざる間に、もとのままに起こしておいたのだそうだ。