おばけの正体

106話 おばけの正体 第一〇六項 地蔵尊の変位

393字 約1分 2016年6月5日 公開

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 この話と好一対なるは、新潟県のある村にて地蔵尊について起こった出来事である。その村外れの路傍に、石造りの大地蔵が立っている。これを動かすには四、五人の力を要するほどである。ある年、一夜のうちにその地蔵が向きを変じ、道路の方へ背を向けていた。翌朝、村民らこれを見て不思議に思い、相集まりてもとのとおりに向け直せば、その夜また背向きになっている。かくのごときこと数回に及びたれば、村民らは、なにか本村の所業が地蔵尊の意に適せざることあるためであろうか、または村内に天災のあることを予告せらるるためではないかなどといろいろ申し立て、大いに戒慎していたが、その後取り調べの結果ようやく事実が分かり、その村内に腕力の非常に強きものあって、早朝、夜のいまだ明けざる間に、独力にて地蔵尊の向きを変じておいたのであったそうだ。これは、人の驚くのがおもしろいという、ものずきの心より起こった所業である。

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