おばけの正体

108話 おばけの正体 第一〇八項 邪神の祟

324字 約1分 2016年6月5日 公開

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 ある大地主が、己の所有地内に小さき(ほこら)があるが、なんの神を祭りしものか知れぬ。とにかくその地は不潔なれば、祠をほかの清潔の地にうつすことに定めた。その後、地主が眼疾を起こし、その痛み忍び難いほどである。出入りの者みな申すには、「神の(たたり)なれば、祠をうつすことはやめさせたし」という。これを聞いて地主大いに怒り、「不潔の所より清潔の所に移すに、祟をなすがごとき神は邪神に相違ない。邪神ならば恐るるに足らず」といい、急に命じてその祠をこぼち、その神をやかしめたれば、眼疾たちまち全快せりとの話がある。眼疾と遷祠(せんし)とはもとよりなんらの関係のないのに、神の祟などというは愚民の迷信である。かかる迷信を医する手段としては、時によりこのようなる荒療治も必要である。

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