ノベリズ
おばけの正体
214字 約1分 2016年6月5日 公開
かつて『宮崎新報』に、同県東諸県郡内にて、光村某と西岡某との両人が、金円調達のため瓜生野(うりゅうの)村に赴き、やがてその用事も済み、焼酎の馳走(ちそう)に酩酊(めいてい)して己の村へ帰る途中、光村が狐(きつね)に誘われて藪(やぶ)の中に入り、その挙動の怪しかりし顛末(てんまつ)を記してあった。これ、狐憑(つ)きにあらずして酒憑きというべきものである。ずいぶん世間には、狐の人をだますにあらずして、酒の人をだますことが多い。されば、酒もまた狐の一種であるゆえに、余はこれを酒狐(しゅこ)と名づけたいと思う。
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