おばけの正体

7話 おばけの正体 第七項 幽霊の足跡

377字 約1分 2016年6月5日 公開

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 去るころ、奈良県の某新聞にも、「妖怪変化(へんげ)」と題して幽霊談が掲げてあった。その場所は同県磯城(しき)郡桜井町、某寺の境内である。この寺の墓地に毎夜十一過ぎになると、ハイカラ的丸髷(まるまげ)の亡者が徘徊(はいかい)するとの噂が町内に広がり、物好きの男が第一番に正体を見あらわしてやらんと、しようもないところに力瘤(ちからこぶ)を入れ、一夜、堂の裏に身をひそめて様子をうかがっていたそうだ。初秋の夜も沈々(しんしん)と更けた十二時すぎになると、アーラ不思議や、忽然(こつぜん)として一人の女に化けた妖怪が現れ、累々(るいるい)と並んでいる石碑の間を歩いて行くのを見届けたから、翌朝再びその場へ行ってみると、大正の化け物は違ったもので、足跡が点々と墓の間に残っている。そこで、その足跡は狐狸(こり)か幽霊かと思ってだんだん取り調べたところが、その近辺に一人の好男子が住んでいる。そこへほかより毎夜、これを慕っている婦人が通ってくるのであったそうだ。

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