73話 おばけの正体 第七三項 幽霊の寺参り
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寺院に住するものは、檀家に死者のあるごとに幽霊の寺参りがあるといい、深夜、本堂の戸があいたり、鐘がなったり、足音がしたりするときには、必ず檀家より死人の知らせが来るというが、幽霊には姿も形もなく、足も手もないものであるから、戸をあけたり足音のするはずはない。ある田舎の寺で、深夜に本堂の戸があき、足音が伝わったけれども、幽霊の寺参りと思い安心して寝ていたるが、翌朝になってみれば、そのとき盗賊の入り来たったのであったという話がある。盗賊のためには最も都合のよい迷信と申さねばならぬ。