81話 おばけの正体 第八一項 傘の自動
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群馬県のある小学校において、生徒がさしてきた雨傘を開いたまま運動場に置いて教場へ出て、放課時間に再び運動場に至れば、その傘が風もなにもないのに、ひとりで右へころげ左へ転じ、コロコロと自動している。生徒は不思議に思い、化け物の所業と考え、驚き恐れて一人もこれに近づくものがない。たちまちそのことを教員が聞き込み、出て見ればいかにも不思議で、傘が生きているか、狐狸の仕業かと考うるよりほかに考えようがない。よってそのことを校長に告げたれば、校長はそんなことのあるはずはないとは申したものの、出て見れば校長にもその理由が分からぬ。どこにか狐でもいて生気を吹きかけるのではないかとの説あれども、狐も見当たらず、さりとて天狗の業とも考えられず、だれもみな遠くに離れ茫然として見ているばかりである。そのとき校長が、「近寄って見届けるがよい」と申して、自身でその裏手に回り、近くのぞけば、傘の内側の骨の中に蛇が入って動いているために、傘が左右に自動していることが分かった。もしそのままに捨て置き、翌日動かぬようになって見たならば、蛇はすでに逃げ出しておらぬから、必ず化け物沙汰になるであろうと、校長当人の直話。