おばけの正体

88話 おばけの正体 第八八項 写真上の幻影

314字 約1分 2016年6月5日 公開

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 先年、東京深川区富川町、中村某方にて撮影せる写真に怪しの姿が写れるより、死したる人の霊が仮に現世へ現れたるものなりと評判立ちしために、実地探検した人がある。その写真は素人の手際で、光線のぐあいはなはだつたなく、かつその場所は南方より強き光線の来たる日本室であった。その室内に神棚があって、その棚の上に厨子(ずし)があり、その中に五十銭銀貨大の霊鏡をかけ、その前に相馬焼の湯飲みと真鍮(しんちゅう)製の灯明台がある。この三個の物体が、あたかも人の形をなしておるように見ゆ。すなわち、霊鏡が頭となり、湯飲みが胴となり、灯明台の正中(まんなか)の光線が手先となって、南方より入る光線がこれに反射して、朦朧(もうろう)たる人体ようの影が写真中に現れたのであることが分かったそうだ。

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