佐藤春夫詩集

28話 消閑雜詩 願ひ

220字 約1分 2022年4月9日 公開

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大ざつぱで無意味で

その場かぎりで

しかし本當の

飛びきりに本當の唄をひとつ

いつか書きたい。

神さまが雲をおつくりなされた氣持が

今わかる。

おつかさんが

あの時 うたつてきかせたあの

子守唄を

そつくりそのまま思ひ出したい。

その唄は きけば

おつかさんももう知らない

どうもでたらめにうたつたらしい。

どうかして生涯にうたひたい

空氣のやうな唄を一つ

自由で目立たずに

人のあるかぎりあり

いきなり肺腑(はいふ)にながれ込んで

無駄だけはすぐ吐き出せる

さういふ唄をどうかして一つ……

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