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黒き素船

岩野 泡鳴 全1話 228字 2022年1月20日

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1. 黒き素船

黒き 素船(すぶね) を 透(す)かし見れば、

砂 に しやがめる 影 と まがひ、

沖 の 小島 の 薄き 見れば、

人 の 思ひに 沈む けはひ、

空 に 住へる 月 を 仰ぎ、

寂(さ)びし わが身 の 魂(たま) と 見たり。

われは そのまま まなこ 閉ぢて、

消ゆる 世界 を 今ぞ いだく。

浮けよ、沈めよ、千々(ちぢ)の なやみ、

千々の 悲(かなし)み、身をば 乗せて。

苦なるいのち は――繁(しげ)き矢 なり――

積みて 重なる 夢 の 小船。

さして 行くへ を こゝに 問はじ、

この夜、この時 われは 活きん。

黒き素船 — 岩野 泡鳴 — https://noveliz.cc/n/vnj1ew5nwm

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