12話 ○○獣の再来
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恐ろしいビルディング崩壊が再び始まったのはその日の午後であった。
あれよあれよと見る間に、例のカリカリカリという怪音をあげて、東京ホテルの裏に立っている大きな自動車のガレージを噛りはじめた。
敬二少年が外に走りでたときは、もはやガレージの横の壁が、まるで達磨を横にしたように噛みとられ、そして中にある修理中の自動車がガリガリやられているところだった。じっと見ていると、それらの壁や自動車が、音をたてて自然に消えてゆくとしか見えないのであった。もちろんドン助が新聞記者に喋ったように、怪物の尻尾もなんにも見えなかった。
敬二はいまさらながら、この出来事を眼の前に見て、気味がわるかったが、思いついて、首にかけていたカメラでパチリと写真を一枚とった。露出はわずか千分の一秒という非常な短かい撮影だった。
「やあ、これかい。なるほどなるほど」と突然大きな声がしたので、その方をふりむいてみると、誰がいつの間に知らせたのか、蟹寺博士が来ていた。博士は例の強い近眼鏡を光らせて、崩壊してゆく自動車を熱心にじっと見つめていた。
自動車も消えてしまうと、そこらに集って見物していた人達は、にわかに狼狽をはじめた。さあ、こんどはどこが崩壊するかしれないからです。もし自分の身体が崩壊しはじめたらどうしよう。
カリカリカリカリ。
突然また例の怪音がおこって、人々の耳をうった。