14話 ○○獣の謎
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敬二少年は、ついに○○獣の撮影に成功したのだった。
この写真をよく見てるうちに、彼はこの事件が起った最初、裏の広場の土をもちあげて、機械水雷のような形をした二つの球塊がむっくり現れたことを思いだした。
○○獣の正体は、やはりこれだったのである。
何だかしらないが、その二つの球塊が、たがいにくるくると廻りあっている。一方が水平に円運動をすると、他の方は垂直に円運動をする。つまり二つの指環を噛みあわせたような恰好の運動になるのであった。それは二つの球が、お互いに運動をたすけあって、いつまでもぐるぐる廻っていることになるのであった。○○獣のおそろしい力も、こうした運動をやっているからこそ、起るのであった。
今では○○獣の姿が、一向人々の眼に見えないが、これは○○獣がたいへん速く廻転しているせいであった。たとえば非常に速く廻っている車が見えないのと同じわけであった。敬二少年は、○○獣がこれから廻ろうとしていたその最初から見ていたのであった。
「まったく不思議な○○獣だ」と、敬二は自分で撮った写真をじっと見つめながら、長大息をした。
○○獣というのは、二つの大きな球塊がぐるぐる廻っているものだということは分ったけれど、さてその大きな球塊は一体どんなものから出来ているのか、また中には何が入っているのかということについては、まだ何にも知れていなかった。そこに実に大きい疑問と驚異とがあるわけであったが、敬二には何にも分っていない。いや敬二ばかりが分らないのではない。おそらく世間の誰にもこの不思議な○○獣の正体は見当がつかないであろう。
敬二が○○獣の写真をもって、再び東京ホテルの裏口に帰ってきたときには、そこには物見高い群衆が十倍にも殖えていた。その間を押しわけて前に出てみると、ホテルの建物はひどく傾き、今にも転覆しそうに見えていた。その前に、蟹寺博士が、まるで生き残りの勇士のように只一人、凛然とつっ立っていた。警官隊や消防隊は、はるかに離れて、これを遠巻きにしていた。
そのとき敬二は、胸をつかれたようにはっと感じた。それは外でもない。ホテルの裏口に積んであった空箱の山が崩れて、そのあたりは雪がふったように真白に、木屑が飛んでいることであった。
「ドン助は、どうしたろう。この空箱の中に酔っぱらって眠っていたわけだが……」
彼は急に心配になって、恐ろしいのも忘れて前にとびだした。そして残った空き箱の一つ一つを手あたり次第にひっくりかえしてみたが、たずねるドン助の姿はどこにも見あたらなかった。ぞーッとする不吉な予感が、敬二の背すじに匍いあがってきた。