7話 七 両性関係と東西両洋の盛衰
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不純不正なる男女関係の間に生れたる小供は、その体質に於て、その精神に於て、到底健全なる発達を期し難い。然るに東洋では古来女子の人格を尊重するを知らず、女子を以て一種の子孫を生む器械の如くにも見、結婚にもひたすらその容貌の美醜に依りて選択するの悪風が有ったから、その結果は今日の如く堕落して萎靡振わず、其処へ比較的厳粛なる西洋の家庭に人と為った体質、精神共に強健なる小供が南洋を迂回して東洋に来り、これを圧迫したから堪らぬ。彼等白人から異人種と称して劣等視され、差別的待遇を受けてその圧力に堪えず、衰滅の道を辿りつつあるの観を呈している。然らばこの過ちを知って、これより大いに改むべきである。さればといって、婦人はその自由の回復の名の下に、その天賦の体質性情に基づく分業を忘れて、男子の事業の領域まで侵蝕し、それがために自己の付与された一大任務を忽諸に付してはならぬ。これは如上論述するところに依って、すでに明瞭なるところであるけれども、近来我が国にも新婦人なるものが現れて突飛なる意見を口にするというから、なお少しく実際に渉る一、二の例を引いて考うる必要があろう。男子も人ならば女子も人なり。男子の為すところなんぞ女子に為し能わざるの訳あらんやと力んでみても、その体質の上からして女子は軍務に不向きである。また政治の如きも一身国家社会の重きに任じては、家門を過ぐれども入らずというほどに、昼夜を分たず外に活動し廻らねばならぬことが珍しからぬ。すればこれも家庭を守るべき第一任務の存在する女子に在っては甚だ不向きである。それ故に少なくも女子は軍人たる能わず、また政治家たるべからざるものであり、この方面に於ては、到底男子に代るべき素質を有せざるものなる事を承知せなければならぬ。女子に於ける最大任務は何としても、妊娠、出産、子女教育のこの三つでなければならぬので、その他はこの余力を以て当れば当るのであるが、それを以て今日男子の天職とするところのものを奪う訳に行かぬ。好しや仮りに女子が男子に代るの能力ありと仮定するも、男子にして、今日女子の当る天職に代り得る素質の無い以上は致方ない。男子には妊娠出来ぬ。すでに出産後といえども男子には哺乳が出来ぬ。男子にも乳は有る。けれども男の乳は飾物であってなんら実用を為さぬではないか。すれば到底男子は女子に代るを得ぬ。否この点については、男子は衷心、女子に対して感謝しておらなければならぬはずである。それ故何としてもこの世は男女の申し合せで、各々その本然の体質性情に従って分業を守らなくてはならぬ。妊娠、出産、子女養育の家庭の任務が無いからして、それを倖いに好い気になって男子が勝手に飛び廻り、仕たい放題をしては困るが、そこは獣類とてもその子の愛すべきを知っている。況んや人間に於て子孫を愛せざるものが有ろうか。然らば良人たるものは、その妻と等しく自己の小供の教育に注意し、その家庭を純浄に保つことを勉めなくてはならぬ。これが我輩の婦人論に於ける根本の信念であって、自余幾多の問題は皆これより派生するものに過ぎぬ。