大戦乱後の国際平和

3話 民族的観念の帝国主義

721字 約1分 2019年8月19日 公開

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 東羅馬(ローマ)帝国亡び、シャーレマーニュの羅馬(ローマ)日耳曼(ゲルマン)帝国亡びて、後に起ったものが今日の仏国とか西班牙(スペイン)とか英国とかである。これらの列国は一面領土によってその主権の及ぶ範囲を定めたが、他の一面に於ては国民主義により同民族を根本として結合したのである。それであるから、西欧諸王国の初代の王号を見ると、英国王といわずして英人の王「レックス・アングロルーム」といい、仏国王といわずして仏人の王「レックス・フランコルーム」というておる。これが民族的結合の観念を表明するものである。この民族的結合の観念は一時、正統主義に依り圧せられたが、欧米に於ては次第にその勢力を増したのである。伊太利(イタリア)の建国もこの民族的結合に基づくのである。かの有名なる国際法学者マスチニーが、国家は民族の異同に依りて結合または分離すべしと論じて、ついに伊太利(イタリア)人の結合を促し、その昔墺のメッテルニヒが「伊太利(イタリア)は単に地理的名称に過ぎず」と冷評したるところの土地に、伊太利(イタリア)民族の現伊太利(イタリア)国を建設したるは全く民族主義の表現である。

 次に、「パン・ジャーマニズム」もいうまでもなく、極端なる民族主義である。この民族的観念に基づける目耳曼(ゲルマン)統一主義なるものが、今度の世界の平和を破った民族的帝国主義なる武断主義である。「ミリタリズム」より更に一層強き言葉を以ていえば武断主義、露骨にいえば侵略主義なるものが、今度の大戦乱を起したのである。(しか)して、この大戦乱の終局に於て真正の国際平和を回復せんとするには、この大戦乱の原因たる民族的僻見を除去すべきは言うまでもなく、最大必要である。換言すれば、大戦乱の大原因たる現今の帝国主義の根本に伏在する民族的僻見の除去によりて、大戦乱後の国際平和が成り立つのである。

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