春は馬車に乗って

横光 利一 完結 全2話 9,637字 約19分 2000年9月1日 更新

海浜の松が凩に鳴り始めた。庭の片隅で一叢の小さなダリヤが縮んでいった。 彼は妻の寝ている寝台の傍から、泉水の中の鈍い亀の姿を眺めていた。亀が泳ぐと、水面から輝り返された明るい水影が、乾いた石の上で揺れていた。 「まアね、あなた、あの松の葉がこの頃それは綺麗に光るのよ」と妻は云った…
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底本: 機械・春は馬車に乗って(新潮文庫、新潮社) ※青空文庫の公有作品です。入力・校正は青空文庫の方々によるものです。

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