吾人の文明運動

3話 〔文明的運動と世界平和〕

914字 約2分 2018年6月26日 公開

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 ここに於てこの文明的運動の愈々(いよいよ)大なるを知るのである。日本の文明的運動がもう一歩力を増せば戦争を()めることも出来る。速やかに勝敗を決することも出来るのである。何としても学ばねばならぬ。赤ん坊でも二十五年経つと役に立つ。相当に学問した者が一巻の書を読んで得るところのものは非常な力がある。一ヵ月や二ヵ月勉強すると――それも毎日朝から晩まで勉強せぬでも、読書の趣味のある者は一時間か二時間読めば、一冊の本は一週間か二週間で読める。一ヵ月に二冊ぐらいは何でもない。この知識を消化して利用すれば、如何(いか)なることも出来る。人間の為すべきことは何でも出来る。人の為すことは何でも出来ぬことはない。人智の力は宇宙を制する力を持っている。この力の競争である。それには学ぶことが必要である。学校を出ると、本をあまり読まぬという人があるかも知らぬ。此処(ここ)に来ている文明的運動の講演を聴きに来る諸君は全く別物であるが……学ばんければいかぬ。学ぶと何でも出来る。赤ん坊を連れて来ると、如何(いか)なる大金持も智恵のある人も大学者も貧乏人も同じである。これに教育を与えて、更に二十五年になると皆同一に進む。人類の平等はここに起る。ここに平和も来るのである。

 大にしては文明的運動は世界平和――更に不健全な社会を平等に進めることも、この運動から来るのである。病的思想の社会論などは愚痴(ぐち)なので、憲法論者の憲法を論ずるにも多くは全然根本を誤っている。文明の意義を理解しておらぬ。我が日本の憲法は如何(いか)に運用するか。君民力を合せてこの帝国をして文明的に世界の強大なる国と競争し、強大なる国と対等の地位に立ち、東洋の平和、(いな)、世界の平和を保たねばならぬ。かくの如き大なる責任、大なる天職を以て、ここに大正の天皇は来月高御座(たかみくら)に座して四海(しかい)に君臨遊ばす。こういう大典が前に在るではないか。我々臣民は明治維新の大精神を発揮し、世界的に大活動をしようという、この重大な気象を持たねばならぬ。欧羅巴(ヨーロッパ)の文明も一朝一夕に来たものでない。全体に到るまでには幾多の辛苦艱難を為している。その長い努力をしたのを一冊の本で()ぐ理解しようというのである。文明的運動は(すこぶ)る経済的、頗る速成的にやるのである。

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