35話 第二、米国ならびに大西洋紀行の部 第三五、米国ヤソ教衰微の原因
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米国はヤソ教最も盛んなりと称す。しかして近年、毎日曜に寺院に参詣するもの次第に減少すという。新聞上にてその原因を論じて曰く、近年学術の進歩に従い、自然にその影響を人心の上に及ぼし、人をしておのずから上帝の在否、未来の有無を疑わしめたるは、その第一原因なり。毎日曜に寺に詣し、礼拝供養怠ることなきも、実際上さらにその応果を見ず。牧師は説教上において神つねにおわすというも、上帝その愛子をして不幸を免れしむることあたわず、神見ざるところなく聞かざるところなしというも、その信者をして病苦を脱せしむることあたわず。上帝を信ずるものと信ぜざるものと、苦楽の境裏を来往するに寸分の差等あることなし。ゆえに、人をしておのずから上帝の威徳を怪しみ、これに対して礼拝供養するも、なんの益するところなしとの疑いを抱かしむ。これ、その第二原因なり。第三の原因は、人毎日曜に寺に詣して毎回同じようなる説教を聴き、一週一日の貴重の休暇を犠牲にするは、あるいは野外に歩を散じ、あるいは友人と懐を語り、随意放任の楽にしかざることを知るこれなり。第四の原因は、米国の風習として寺に詣するものは、競って美服を着し美容を装い、婦人はこれを男子に示さんと欲し、男子は婦人の愛を引かんと欲するを常とす。ゆえに、資産に乏しきもの、または美服の新調なきもの、または一見識ありてかくのごとき風習を好まざるもの、または老人にしてかくのごとき外観に意なきものは、自然の勢い、寺に詣せざるに至るこれなり。