欧米各国 政教日記

4話 第一、周遊の目的および太平洋紀行の部 第四、人には二様の見あるを要す

714字 約1分 2012年10月21日 公開

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 政教子曰く、およそ人には必ず二様の見あるを要す。その見一様に偏すれば邪見となり、その見二様の中を得れば正見となる。政治家は政治に保守と改進の両主義あることを知らざるべからず、哲学者は哲学に理論と実際の二学派あることを知らざるべからず。その一を取りて他を捨つるは正見にあらず、二者相合してよくその中を得れば正見なり。しかれども、世論は常に動揺して一定すること難きをもって、その論あるいは保守の一方に偏し、あるいは改進の一方に偏するを免れず。このときに当たり、人もしその中正を保たんとするときは、その勢い保守の一方を取るか、しからざれば改進の一方を守らざるを得ず。これ、他なし。ただ、時変に応じてその中を維持せんと欲するのみ。ゆえに、保守の一方を取るものは、改進の同等に必要なることを記せざるべからず、改進の一方を守るものは、保守の同時に廃去すべからざることを知るを要す。この理は、ひとり政治の上に存するのみならず、百事百物の上に存するなり。人もしその生命を保全せんと欲せば、身体を養うと精神を養うと同等に必要なることを知らざるべからず。学者もしその名誉を立てんと欲せば、真理を愛すると国家を愛すると同様に必要なることを知らざるべからず。余は、この二者の偏廃すべからざることを知るものなり。ゆえに余は、真理を愛すると同時に、国家を愛するものなり、真理のためにその心を尽くすと同時に、国家のためにその力をつくすものなり。これ、余が内にありて理論哲学を講じ、外に出でて実際哲学を説くゆえんなり。これ、余が理論上、教育、宗教の原理を究めて、実際上、風俗、人情の改良をはかるゆえんなり。余が今回の遠遊もまた、この目的を達するにほかならず。

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