雨の玉川心中 01 太宰治との愛と死のノート

17話 六月十七日

288字 約1分 2017年6月19日 公開

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 一時間半も待ったという御言葉を楽しくきいて席についたのに、

「別れよう――」

 と仰言る。

「何故ですか、私に何か気に入らないところがありまして?」

「いや、そうじゃないよ。君のお母さんを見ちゃったんだもの、年寄りって衿(えり)に白い布をつけてるね、見ちゃったんだもの。僕に、母がないからかも分からないけど、お母さんからとっちゃうんだものな、君を。可哀想だよ」「年寄りって、結局は物質的に豊かであれはいいんですよ。私に死に水をとってもらいたいと思っているんでしょう」

「僕も一緒にとるよ。ごめんね、もう放さないよ。いい?」

 優しい御言葉。これほどのことを言って下さる人が、ほかにあるだろうか!

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