3話 海潮音 序(3)
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怕るゝか死を。――喉塞ぎ、
おもわに狭霧、
深雪降り、木枯荒れて、著るくなりぬ、
すゑの近さも。
夜の稜威暴風の襲来、恐ろしき
敵の屯に、
現身の「大畏怖」立てり。しかすがに
猛き人は行かざらめやも。
それ、旅は果て、峯は尽きて、
障礙は破れぬ、
唯、すゑの誉の酬えむとせば、
なほひと戦。
戦は日ごろの好、いざさらば、
終の晴の勝負せむ。
なまじひに眼ふたぎて、赦るされて、
這ひ行くは憂し、
否残なく味ひて、かれも人なる
いにしへの猛者たちのやう、
矢表に立ち楽世の寒冷、苦痛、暗黒の
貢のあまり捧げてむ。
そも勇者には、忽然と禍福に転ずべく
闇は終らむ。
四大のあらび、忌々しかる羅刹の怒号、
ほそりゆき、雑りけち
変化して苦も楽とならむとやすらむ。
そのとき光明、その時御胸
あはれ、心の心とや、抱きしめてむ。
そのほかは神のまにまに。
出現 ロバアト・ブラウニング
苔むしろ、飢ゑたる岸も
春来れば、
つと走る光、そらいろ、
菫咲く。
村雲のしがむみそらも、
こゝかしこ、
やれやれて影はさやけし、
ひとつ星。
うつし世の命を耻の
めぐらせど、
こぼれいづる神のゑまひか、
君がおも。
岩陰に ロバアト・ブラウニング