ノベリズ
『春と修羅』
157字 約1分 2000年10月4日 公開
まちなみのなつかしい灯とおもつて
いそいでわたくしは雪と蛇紋岩(サーベンタイン)との
山峡(さんけふ)をでてきましたのに
これはカーバイト倉庫の軒
すきとほつてつめたい電燈です
(薄明(はくめい)どきのみぞれにぬれたのだから
巻烟草に一本火をつけるがいい)
これらなつかしさの擦過は
寒さからだけ来たのでなく
またさびしいためからだけでもない
(一九二二、一、一二)
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