22話 四つの都 二二 名曲堂。
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鶴三が奥から銭湯行きの姿で出て来て、葉子に話しかける。葉子は店の間に置いた小鳥に餌をやっている。
鶴三「どうだ? 鳴いたか」
葉子「ちっとも鳴けへんわ、新坊行ってしもてから、鳴かんようになった」
鶴三「おかしいな。……あ、夕刊がはいった」
鶴三は新聞を拾って、表へ出て、新聞配達の少年の後ろ姿を見送る。標札屋の老人が店から鶴三に声を掛ける。
標札屋「新ぼん、今頃どないしとるかな」
鶴三「一生懸命働いとるに決っとる、新坊も今は少年工だ」
標札屋「お父つぁんのお前は棒鱈だが、息子はお国の役に立っとるわけや」
鶴三「おれが棒鱈なら、お前は鯡だ、どら風呂へでも行って来るかな」
鶴三、新聞を畳んで懐へ入れて、歩きかけ、
鶴三「おや、やんだようだ」
傘を畳む。