37話 四つの都 三七 中庭。
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庄平が歩いて行く。
節子が作業服を来て、向うから来る。
節子「あらッ!」
庄平、辻節子だと気づくまで、相当時間が掛る。
やがて――
庄平「やあ、あなたでしたか」
節子「またお眼に掛りましたわね」
庄平「しかし、今日は驚きましたね、勤労奉仕ですか」
節子「いゝえ、ずっとこの工場で働くことにしましたの、仏像をお寺に納めて肩の荷が降りましたので、昨日まで東亜ホテルにいましたが、今日からこゝの寄宿舎へ移りましたの」
庄平「そうですか、親爺も聞いたら感激するでしょう。あのお嬢さん、一人ぽっちでどうするんだろうって言ってましたから」
節子「お父様にあの仏像のお代をまだお渡ししてないんですけど……」
庄平「いや、いゝですよ、親爺は譲ることは好きらしいですから」