44話 四つの都 四四 国民学校の校庭。
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初枝が放送する。
初枝「マラソン競争の選手が帰って参りました」
拍手。
シルクハットの来賓、椅子から乗り出して見る。
庄平先頭になって校門をはいる。
初枝、緊張して見る。
庄平、決勝点へ入る。
庄平、(1)と書いた旗竿を持たせられる。
係の先生のA「お名前は……?」
庄平(うっかりと)「二十九歳です」
係の先生のA「いや、お歳じゃなく、お名前を伺ってるんですが」
庄平「あ、そうですか、えゝと、中瀬古庄平です(係の先生のメモを覗きこんで)庄屋の庄に、平の平です」
係の先生のA、筆記したメモを持って、初枝の処へ持って行く。
初枝(放送する)「只今のマラソン競争の成績を申し上げます。一着、中瀬古庄平さん! あッ」
初枝、驚いてメモを見直す。
初枝「一着! 中瀬古庄平さん!」
放送しながら、庄平の方を見る。
庄平は、賞品を貰って、出発線の方へ行く。
拡声機の声(初枝の声、ふるえている)「次は、女子青年団の団体行進であります」
初枝、放送しながら、庄平の方へ視線を離さない。
庄平は、初枝の方から遠くはなれた出発線の処で、上衣を着ている。清子が飛んで行って、庄平に挨拶しているのを初枝は見る。シルクハットの来賓、女子青年団の行進を乗り出して見る。頭を右左へ振るので後の者迷惑する。
カメラ、庄平と清子に近づく。
庄平「そうでしたか、あなたが尾形君の妹でしたか、実は僕も先刻からあなたを探していたんです、今日は何も走るつもりで来たんじゃないんですがあなたをお訪ねして来た処、偶然運動会だったもんで」
苦笑する。
清子(微笑して)「拡声機で、一等になられた方が、中瀬古さんだと伺ったものですから、すぐ飛んで参りましたの、おやっと思って」
団体行進が二人の傍を通る。
二人は、道を開ける。
初枝、じっと二人の方を見ている。