顎十郎捕物帳 11 御代参の乗物

久生 十蘭 完結 全2話 1.4万字 約28分 2008年1月10日 更新

神隠し もう子刻に近い。 寒々としたひろい書院の、金蒔絵の京行灯をへだてて、南町奉行池田甲斐守と控同心の藤波友衛が、さしうつむいたまま、ひっそりと対坐している。 深沈たる夜気の中で、とぎれとぎれに蟋蟀が鳴いている。これで、もうかれこれ四半刻。どちらも咳ひとつしない。 江戸一といわ…
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底本: 久生十蘭全集 Ⅳ(三一書房) ※青空文庫の公有作品です。入力・校正は青空文庫の方々によるものです。

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