探偵少年

11話 トラのゆくえ

1,394字 約3分 2018年8月12日 公開

読み方を変える
字の大きさ
行の間隔
1行の長さ
書体
配色
組み方

 こんどは、魔法博士が、さきに立っているのですから、道しるべのひもなんかなくっても、だいじょうぶです。少年たちは、なんなく、鍾乳洞の外に出ました。

「黄金のトラのかくし場所を、おしえてあげるから、こちらへ、おいで。」

 魔法博士は、そういって、山小屋のほうへ、おりていきます。

 山小屋へ近づいたとき、さきに歩いていたノロちゃんが、びっくりしたように立ちどまりました。

「あらっ、へんなやつが、のぞいている!」

 山小屋のうしろから、ヒョイとのぞいた人間の顔が、その声におどろいて、ひっこんでしまいました。なんだか、ひげむじゃのきたない顔で、山男のようなやつでした。

「ハハハ……、あれはきみたちの、よく知っている人だよ。おい、もういいから、出てきなさい。」

 魔法博士によばれて、小屋のかげから、ノッソリあらわれたのを見ると、その男は背広のうえに、ネズミ色のオーバーをきて、りっぱな紳士のふうをしています。それでいて、顔だけが、山男のようにきたないのです。なんだか、気味のわるいやつです。いったい、だれなのでしょう。

「ハハハ……、まだわからないかね。これが、ほんとうの山小屋のじいさんだよ。わしが、このじいさんにばけて、きものをかりたので、じいさんは、わしの服をきているのさ。」

 魔法博士の説明で、やっと、わけがわかりました。そういえば、博士のほうも、ピンとはねた口ひげのある顔ににあわない、きたない服をきているのです。

「黄金のトラは、いったい、どこにかくしてあるんですか。」

 井上少年が、前に出てたずねました。

「うん、それはね、さっき、きみたちがここへきたとき、わしは、じいさんにばけて、キセルでタバコをすっていたね。おぼえているかい。その目の前にあったのさ。いまでも、きみたちの目の前にあるんだよ。」

 魔法博士は、にやにやと笑いました。

 少年たちは、それをきくと、山小屋のなかにあがりこんで、せまい部屋を探しまわりましたが、どうしても、見つけることができません。

「ハハハハ……、戸だなや、ひきだしを探したって、だめだよ。ほら、きみたちのすぐ目の前にあるんだ。わしが、どこでタバコをすっていたか思いだしてごらん。いろりの前だったね。いろりには、火がなくて灰ばかりだったね。

 ほら、よく見たまえ。このいろりの灰のなかに、ピカッと光ったものが、見えるじゃないか。」

 魔法博士は、ひばしでいろりのすみを、さししめしました。そこの灰のなかに、画ビョウのあたまほどの小さい金色のものが、光っているのです。

「ほら、これが黄金のトラの、しっぽのさきだよ。

 どうだね、黄金のトラは、ちゃんと、きみたちの目の前にあっただろう。よくおぼえておきたまえ。ものをかくすときは、あいてが、まさかと思うような場所へ、わざと、ほうり出しておくのが、いちばん、うまいかくしかたなんだよ。」

 博士は、そういって灰のなかから、キラキラ光る黄金のトラを取りだし、てのひらの上にのせて、ながめるのでした。

「さあ、もう一度、これを、きみたちに渡すから、こんどは、もっとうまくかくしてごらん。きみたちが、いくら知恵をしぼっても、わしは魔法の力で、すぐに盗みだしてみせる。それをまた、きみたちが探すのだ。さいしょから二ヵ月という約束だから、まだ、じゅうぶん日にちがある。そのあいだに、これを取りかえせば、やっぱり、きみたちの勝ちになるのだよ。」

目次に戻る

目次