探偵少年

14話 追跡

1,395字 約3分 2018年8月12日 公開

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 お話はかわって、やはりその日の、午後四時すこしまえ、セトモノ屋の今井君の店のむこうがわに、一台のから自動車がとまっていました。

 そのなかには、小林団長と、今井君と、今井君のにいさんの大学生とが、かくれているのです。

 魔法博士は、黄金のトラが、今井君の店に、かくしてあるのを知って、コッソリ、やってくるかもしれないからです。

 今井君のにいさんは、自動車の運転がうまいので、少年探偵団のみかたになって、知りあいのガレージから自動車をかり出し、運転席にかくれて、そこに待ちぶせしているのです。小林、今井の二少年もうしろの席にかくれていました。みんな、窓よりひくく身をふせていたので、外からは、だれものっていないように見えるのです。

 小林団長は、トラックについている、まるいバックミラーを、ガレージからかりてきて、自動車の窓のところへ出して、下から見ていました。このバックミラーは凸面鏡(とつめんきょう)になっているので、ふつうの鏡よりも、ずっとひろいけしきがうつります。それを、むこうがわのセトモノ屋の店にむけて、黄金のトラの、かくしてあるたなを見はっているのです。

「あっ、へんなじいさんが来たよ。見てごらん。ね、なんだか、あやしいやつだね。」

 鏡にそれがうつっていました。大きなめがねをかけ、白いあごひげを胸までたらし、茶色のコートをきて、黒いトルコ帽のようなものをかぶったじいさんが、つえにすがって、ヨチヨチと、セトモノ屋の店へはいっていくのです。

 店には、たくさんの客がいました。じいさんは、そのなかにまじって、だんだん、黄金のトラのかくしてあるオモチャのたなのほうへ、近づいていきます。

 そして、そのたなの前に立つと、キョロキョロと、あたりをぬすみ見て、スーッと、手をたなの上にのばしました。

「あっ、たいへんだっ。トラを……。」

 今井君が、さけびました。

 あやしい老人は、セトモノに見せかけてある黄金のトラをひっつかんで、サッと、ふところへいれてしまったのです。店員も、そばにいた客も、すこしも、それに気がつきません。じいさんは、そのまま、コソコソと店の外へ出て、むこうの電車通りのほうへ歩いていきます。

「あのじいさんのあとを、つけてください。」

 小林君が、運転席に声をかけました。

 セトモノ屋の店を、二十メートルもはなれると、つえにすがってヨボヨボしていたじいさんの足が、にわかに早くなりました。まるで青年のように、おおまたに歩くのです。

 小林君たちの自動車は、あいてに気づかれぬように遠くはなれて、ノロノロと、そのあとをつけていきます。

「あっ、へんな自動車がいる。あれにのるのかもしれない。」

 電車通りのかどに、青色の大きな自動車がとまっていました。じいさんはツカツカと、そのそばによると、いきなりドアを開いて、うしろの席にとびこみました。そして、その自動車は、おそろしい早さで走りだしたのです。

「にいさん、全速力だよ。あの青い自動車を見うしなわないように。」

 今井君が、運転席によびかけました。

「よしっ、こころえたっ。にいさんのうでまえを、見ているがいい。」

 映画のような自動車の追跡です。

 青と黒の自動車は、二―三十メートルをへだてて、町から町へと、おそろしい早さで走りました。青色自動車は、さびしいほうへ、さびしいほうへと、まがっていきます。そして三十分ほどのちには、大きな川のそばに出ました。

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