51話 運命のわかれみち
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ロロー殿下は、長良川博士にしばらく待っていてくれるようにたのんで、また宮殿の奥をさして姿を消した。
しばらくすると、ロロー殿下は、ふたたび姿を現わして、長良川博士のところへ急ぎ足でやってきた。
ここでもうしておくが、ロロー殿下の姿は、海底超人のようなかっこうをしていない。それはちょうど、潜水服と潜水かぶとをかぶった人間のような形をしているのであった。ただふつうの人間にくらべて、体は一メートルばかりも高く、そして体の割合に頭部が大きかった。マスクの中からは黒い二つの眼がのぞいていたが、これは一種の仮面であって、人間に会っても相手をおどろかせないための深い注意から設計されたものであった。つまり早くいえば、ロロー殿下は人類と接近するとき相手をおどろかすまいと思って、細心の注意をはらった外装をととのえているのであった。
「長良川博士、話はうまくつきました」
と、ロロー殿下はうれしそうにいった。
「どう話はつきましたか」
「これからすぐ、クイーン・メリー号を海上にもどします。船室も乗員も皆、もとのようにもどします」
「それはいいことです。わたしも安心しました」
「だが博士、それには一つの条件があるのですが……」
と、ロロー殿下はいいにくそうにつけ加えた。
「なに、一つの条件があるというのですか、その条件というのは何です」
「これはつまり――つまり、わたしが『鉄水母』でもってお連れしたあなたがた三人には、むこう一年間この国に滞在していただきたいということです」
「むこう一年間の滞在をせよというのですか」
長良川博士は、きっと、くちびるをむすんでロロー殿下を見つめたが、
「いや、わたしはそれくらいのことは覚悟していました。しかしドン君と三千夫君にも聞いてみなければならない」
博士は両人をそばによんで、海底超人国のもうし出を伝えた。するとドン助教授は、ただちに決意して、長良川博士と進退をともにしたいといった。三千夫少年もまた、がんばるといいだした。
事務長クーパーは、クイーン・メリー号が釈放されると知って、酔払いのようにおどっていたが、その代価に長良川博士以下三人がこの国にとどまると聞いて、それはいけないと主張した。
「こんなところにのこっていると、海底超人のためにどんな目にあうかわかりませんよ。なんでもかまいませんから、メリー号が海上へもどるところまでついてきて下さい。そしていよいよというところで、ぼくらといっしょに逃げるんですね。海上には、きっとわが英国艦隊や空軍が待っているだろうと思いますからね、それに助けをもとめれば大丈夫ですよ。それがいいではありませんか」
とクーパーは、博士たちに、超人をだまして海上へ出たら、その足でメリー号の乗員といっしょに逃げだすことをしきりにすすめるのであった。