12話 さかなと にくと おさけと かたな
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が、よしみつ公は も一つ 一休さんの とんちを ためして みようと おもって いたのでした。
ぜんしゅうでは さかな にく からいもの、おさけ などを たべたり のんだり することを きんじています。そういう ものを てらの なかに もってくる ことさえ きんじていました。
ところが、いま 一休さんの 目の まえに はこばれた ごちそうには、さかなも にくも ありました。
おしょうさまは ごく したしいところでは さかなも にくも たべますが、いまは しょうぐんさまの まえなので たべようか たべまいか ためらっていましたが、一休さんと きたら そんなこと へいちゃらで、手あたりしだい むしゃむしゃ たべました。
すると よしみつ公が いいました。
「こりゃ、しゅうけん、おいしいか。」
「はい、わたくしは くいしんぼうですから、おいしくて たまりません。」
「ほう。では、一つ きくが、しゅっけは にくや さかなを たべても いいのかな。わしは、しゅっけは なまぐさものは たべないものだ、と きいていたが……。」
「はッ!」
と、いって 一休さんは しばらく かんがえこみました。それから にこりとして、
「しょうぐんさまも たべて おいでですね。」
「おお。わしは さむらいじゃ。にくも さかなも たべる。」
「でも、しょうぐんさまも あたまを ぼうずに して いらっしゃいますね。」
「そうだ。わしも ぶつもんに はいったのじゃ。」
「そうすると やはり ぼうさんの なかまいりを したのでしょう。」
「その とおりじゃ。」
「おなじ ぼうさんなら しょうぐんさまも さかなや にくを たべては いけないのでは ないでしょうか。」
「うむ、うむ……わしは しかし ほんとうの ぼうさんではない。」
「なまぐさぼうず ですか。なまぐさぼうずなら いたしかた ありません。」
一休さんは ぎゅうっと まず よしみつ公を とっちめました。すると よしみつ公は、
「すると おまえも なまぐさぼうずかな。」
と、ぎゃくしゅう して きました。
「いいえ、ちがいます。」
「へいきで なまぐさを たべる ところを みると、なまぐさぼうず だろう。」
「いいえ、わたしのは ちがいます。」
「どう ちごう。」
「にんげんの のどには、しょくどうと きどうと ございます。」
「ほう、二つ あるか。」
「このみちは、とうかいどうと かまくらかいどう みたいな ものです。」
しょくどうは たべものを たべるみち、きどうは くうきを すったり はいたり するみち――みなさんは、のどに 二ほんの くだなど ないことは ちゃんと しっているでしょう。しかし これは とんちもんどうですから、また べつです。
「ほう。」
よしみつ公は 一休め なにを いいだすか、と にこにこしています。
「かいどうならば、もちやも とおれば、さかなやも とおります。とうふやも にくやも とおります。」
「かいどうなら とおるじゃろうな。」
「はい。それで、わたしの かいどうを ただいま さかなやと にくやと とうふやが とおった わけで、けっして にくや さかなが ひとりで とおった わけでは ございません。」
「ははあ、小ぞう うまく にげたな。」
よしみつ公は おもわず にっこりと しましたが、すぐ ぎゅっと 一休さんを にらみつけて、ぐっと そばの かたなを 一休さんに つきつけると、
「これ しゅうけん、かいどうならば ぶしも とおるであろう。すみやかに この ぶしを とおしてみよ。」
さあ 大なんだいです。かたなを とおしたら、しんで しまいます。が、一休さんは へいきで、
「いや、むやみ やたらには おとおし できません。」
「なぜじゃ。」
「おそれながら もうしあげます。ただいまは よのなかも しずかでは ありますが、まだまだ かたなを さした とうぞくも おれば、しょうぐんさまに 手むかい しようと ねらっている ものも あるかも しれません。さかなやや にくやや とうふやは そんな わるい ことを しませんが、かたなを さした ぶしは、いちいち しらべないと とおす ことは できません。」
一休さんは まんまと いいのがれて しまいました。ことに よしみつ公に 手むかいするものが あるかも しれない。それを しらべないで とおす わけには いかない、と いったのが、とても よしみつ公の おきにいったので、よしみつ公は、
「しゅうけん、でかしたッ!」
と、大よろこびで、
「しゅうけん、これからも よくよく がくもん して りっぱな そうりょに なれよ。それ、しゅうけんに ほうびを とらせよ。」
と、けらいに めいじて たくさんの ごほうびを しゅうけんに あたえました。