一休さん

12話 さかなと にくと おさけと かたな

1,968字 約4分 2021年6月25日 公開

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 が、よしみつ(こう)は も(ひと)つ 一休(いっきゅう)さんの とんちを ためして みようと おもって いたのでした。

 ぜんしゅうでは さかな にく からいもの、おさけ などを たべたり のんだり することを きんじています。そういう ものを てらの なかに もってくる ことさえ きんじていました。

 ところが、いま 一休(いっきゅう)さんの ()の まえに はこばれた ごちそうには、さかなも にくも ありました。

 おしょうさまは ごく したしいところでは さかなも にくも たべますが、いまは しょうぐんさまの まえなので たべようか たべまいか ためらっていましたが、一休(いっきゅう)さんと きたら そんなこと へいちゃらで、()あたりしだい むしゃむしゃ たべました。

 すると よしみつ(こう)が いいました。

「こりゃ、しゅうけん、おいしいか。」

「はい、わたくしは くいしんぼうですから、おいしくて たまりません。」

「ほう。では、(ひと)つ きくが、しゅっけは にくや さかなを たべても いいのかな。わしは、しゅっけは なまぐさものは たべないものだ、と きいていたが……。」

「はッ!」

 と、いって 一休(いっきゅう)さんは しばらく かんがえこみました。それから にこりとして、

「しょうぐんさまも たべて おいでですね。」

「おお。わしは さむらいじゃ。にくも さかなも たべる。」

「でも、しょうぐんさまも あたまを ぼうずに して いらっしゃいますね。」

「そうだ。わしも ぶつもんに はいったのじゃ。」

「そうすると やはり ぼうさんの なかまいりを したのでしょう。」

「その とおりじゃ。」

「おなじ ぼうさんなら しょうぐんさまも さかなや にくを たべては いけないのでは ないでしょうか。」

「うむ、うむ……わしは しかし ほんとうの ぼうさんではない。」

「なまぐさぼうず ですか。なまぐさぼうずなら いたしかた ありません。」

 一休(いっきゅう)さんは ぎゅうっと まず よしみつ(こう)を とっちめました。すると よしみつ(こう)は、

「すると おまえも なまぐさぼうずかな。」

 と、ぎゃくしゅう して きました。

「いいえ、ちがいます。」

「へいきで なまぐさを たべる ところを みると、なまぐさぼうず だろう。」

「いいえ、わたしのは ちがいます。」

「どう ちごう。」

「にんげんの のどには、しょくどうと きどうと ございます。」

「ほう、(ふた)つ あるか。」

「このみちは、とうかいどうと かまくらかいどう みたいな ものです。」

 しょくどうは たべものを たべるみち、きどうは くうきを すったり はいたり するみち――みなさんは、のどに 二ほんの くだなど ないことは ちゃんと しっているでしょう。しかし これは とんちもんどうですから、また べつです。

「ほう。」

 よしみつ(こう)は 一休(いっきゅう)め なにを いいだすか、と にこにこしています。

「かいどうならば、もちやも とおれば、さかなやも とおります。とうふやも にくやも とおります。」

「かいどうなら とおるじゃろうな。」

「はい。それで、わたしの かいどうを ただいま さかなやと にくやと とうふやが とおった わけで、けっして にくや さかなが ひとりで とおった わけでは ございません。」

「ははあ、()ぞう うまく にげたな。」

 よしみつ(こう)は おもわず にっこりと しましたが、すぐ ぎゅっと 一休(いっきゅう)さんを にらみつけて、ぐっと そばの かたなを 一休(いっきゅう)さんに つきつけると、

「これ しゅうけん、かいどうならば ぶしも とおるであろう。すみやかに この ぶしを とおしてみよ。」

 さあ (だい)なんだいです。かたなを とおしたら、しんで しまいます。が、一休(いっきゅう)さんは へいきで、

「いや、むやみ やたらには おとおし できません。」

「なぜじゃ。」

「おそれながら もうしあげます。ただいまは よのなかも しずかでは ありますが、まだまだ かたなを さした とうぞくも おれば、しょうぐんさまに ()むかい しようと ねらっている ものも あるかも しれません。さかなやや にくやや とうふやは そんな わるい ことを しませんが、かたなを さした ぶしは、いちいち しらべないと とおす ことは できません。」

 一休(いっきゅう)さんは まんまと いいのがれて しまいました。ことに よしみつ(こう)に ()むかいするものが あるかも しれない。それを しらべないで とおす わけには いかない、と いったのが、とても よしみつ(こう)の おきにいったので、よしみつ(こう)は、

「しゅうけん、でかしたッ!」

 と、(おお)よろこびで、

「しゅうけん、これからも よくよく がくもん して りっぱな そうりょに なれよ。それ、しゅうけんに ほうびを とらせよ。」

 と、けらいに めいじて たくさんの ごほうびを しゅうけんに あたえました。

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